韓国、「他者への信頼」が大きく低下 「大部分の人を信頼できる」は27%に

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 韓国で社会資本といえる対人信頼度の低下が問題となっている。韓国の政府系シンクタンク、韓国開発研究院(KDI)が8月に発表した報告書によると、「大部分の人を信頼できる」と回答した韓国人は27%で、過去30年間で大きく落ち込んでいることが分かった。下落幅は日本や欧米諸国と比べて大きく、韓国開発研究院は「韓国人の生活の質と幸福感が、経済力や健康寿命に比べて低い水準なのは、薄弱な社会資本が主な理由だ」と説明する。

◆先進諸国で最大の下落幅に
 報告書は世界数十ヶ国の研究機関などが参加する国際調査の「World Value Survey」(世界価値観調査)を分析したものだ。社会資本の重要な要素の一つである「他人に対する信頼レベル」を示す韓国社会の対人信頼性は、「1981〜1984年」の38%から「2010〜2014年」は27%に低下した。

 一方、日本、米国、欧州主要国ではむしろ信頼性が上昇するか、韓国のように下落幅は大きくなかった。日本は30年の間に41%から39%に、米国は43%から35%の低下にとどまった。ヨーロッパ諸国では逆に上昇が目立った。スウェーデンでは57%から62%に、ドイツは31%から45%にそれぞれ信頼レベルが改善した。このほかノルウェーは61%から74%に、フィンランドは57%から62%(※ノルウェーとフィンランドは「05〜09年」までの数値)となった。

 韓国で対人信頼性が低下した理由について、韓国開発研究院は「自分と側近の利益のために法秩序やルールを無視する現実があるからだ」と指摘する。財閥の不祥事が相次ぐ昨今では、競争の公正性を信頼できず、他人に対する警戒心が強くなるばかりのようだ。

Text by 古久澤直樹