サッカー日本代表、海外メディアの評価は? 「本田と香川が……」 ロシアW杯

Eugene Hoshiko / AP Photo

 6月14日にサッカー・ワールドカップ(W杯)がロシアで開幕となった。グループH(ポーランド、セネガル、コロンビア、日本)の最初の試合として19日にコロンビアと対戦する日本代表チームは、世界からどのように見られているだろうか。

◆直前の監督解任が吉と出るか凶と出るか
 まず気になるのが、英国のスポーツ専門チャンネル「スカイスポーツ」と英紙テレグラフといった大手メディアが、日本代表チームの監督としてハリルホジッチ前監督の名前を掲載していることだ。4月7日のハリルホジッチ氏電撃解任は日本中で話題になったが、大手メディアの記者が知らないというのは、日本代表チームの注目度の低さを物語るのかもしれない。

 実際、日本代表チームへの評価は全体的に厳しい。テレグラフは、日本チームは「他チームと比べ、スター選手不在」とみている。とは言うものの、ヨーロッパで経験を積んだ信頼できる選手が複数おり、彼らが頼りだ、とも書いている。同紙は、決勝トーナメントに進むのはポーランドとコロンビアになると予測している。

 W杯のわずか2ヶ月前に監督を交代して果たして勝てるのだろうか? と疑問を投げかけるのは、英紙インデペンデントだ。2014年の負け(グループC最下位)を引きずらずに名誉挽回できるのか、それとも競争の厳しいグループHで最下位に沈むのかが、この疑問への答えとなるだろうと書いている。同紙はまた、W杯に日本が送り出した選手団としては、平均年齢28歳の今回が最年長だと指摘。大会への準備不足を経験が補ってくれると西野監督は期待しているのだろう、と同紙は推測している。ディフェンス陣が守りを固めつつ本田と香川が突っ走ることができれば、日本が決勝トーナメントに駒を進める可能性はある、と書いてはいるが、その可能性は低いと結論づけており、同紙が予測する日本の優勝オッズは251倍だ。

 米紙ニューヨーク・タイムズは、今となっては日本がW杯に出場できるのは「当然」となった、としつつも、「数多く出場してきたわりには、いつも同じパターンに陥る」と指摘する。そのパターンとは、信頼できるパフォーマンスを見せるものの、決勝トーナメントに駒を進める決め手には欠くというものだ。直前でのハリルホジッチ前監督解任は、このサイクルを破るための完璧なスタートとは言い難い、と厳しい評価をしている。

 英紙イブニング・スタンダード(ES)は、グループHの中で飛び抜けたチームはいないため、4ヶ国のどの国も決勝トーナメントに勝ち進む可能性がある、と述べており、日本サポーターはESのこの意見を胸に観戦したいところだ。ただし、ESはコロンビアが1位で決勝トーナメントに進むと予測している。

◆世界が注目するのはこの選手
 日本代表チームで注目するべきとして海外メディアが挙げている選手を紹介しよう。BBCは昨年12月の記事で、キー選手として本田圭佑や香川真司、岡崎慎司といったヨーロッパで著名な選手の名前を挙げていた。ただし、BBCは当時、それらの選手よりもさらに注目すべき選手として浅野拓磨を挙げた。浅野は現在、バックアップメンバーとして現地入りしているが、代表には入っていない。

 スカイスポーツは、「平均して3試合ごとに1ゴール決めている」という理由で、本田圭佑を注目選手としている。テレグラフは、岡崎慎司や長友佑都、本田圭佑の名前を挙げつつ、香川真司をキー選手としている。ニューヨーク・タイムズは、ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントで活躍する香川真司がもっとも実績がある選手だとしている。インデペンデントは、「日本の攻撃陣の中でおそらく最も知られていない名前」としながらも、原口元気を挙げている。フォルトゥナ・デュッセルドルフのブンデスリーガ昇格に貢献したこと、W杯アジア予選でオーストラリア戦やサウジアラビア戦を含め合計5ゴールを決めたこと、などが理由だ。

◆コロンビア戦について
 6月19日のコロンビア戦についてインデペンデントは、日本は対コロンビアで2敗1引き分けしており明らかに劣勢だと書いている。同紙の試合予想は、2-0でコロンビアの勝利。同紙はこのゲームの注目すべき選手として、コロンビアはハメス・ロドリゲス、ラダメル・ファルカオ、日本は香川と本田の名前を挙げている。

 しかし試合直前にして、ロドリゲスは左ふくらはぎに問題があり体調が万全ではないとロイターなどが19日に報じている。日本にはチャンスとなりそうだが、ホセ・ペケルマン監督は18日の記者会見で、「代わりの選手はたくさんいる」と層の厚さを強調した。しかしペケルマン監督は日本について、「非常に厳しい対戦相手になると思う。前回のW杯で何が起こったか、私たちはもうすっかり忘れた」(4-1で日本を下し、1位でグループリーグ通過)と述べ、フレッシュな気持ちで日本戦に挑む姿勢を示した。

Text by 松丸 さとみ