15歳の読解力、7年で「1年分」低下 「ざっと読み」ほぼ倍増、OECD調査

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 経済協力開発機構(OECD)が91の国と地域で約76万人の15歳を対象に実施した国際学習到達度調査(PISA)の2025年の結果が発表された。日本を含む東アジア勢は好成績を収めたが、OECD加盟国全体の成績は低下し、過去最低の平均点を記録した。

◆1年分の学習の遅れ? 読解力低下が深刻
 PISAは、2000年から行われている教育成果の指標となる調査で、科学コンピテンシー、数学的リテラシー、読解力の3分野を調査している。これまではおおむね3年ごとに実施されてきたが、2025年以降は4年ごととなる(2021年に予定されていた調査は新型コロナの影響で1年延期され、2022年に実施)。

 2025年に3分野を通じて最高水準の成績となったのは、中国(北京、上海、江蘇省、浙江省が対象)とシンガポールで、エストニア、日本、韓国、マカオ、台湾、イギリスなども3分野すべてで上位10位に入った。日本は調査開始以来初めて、3分野すべてでOECD加盟国38か国中1位となった。全91か国・地域では、科学5位、読解力4位、数学5位とトップレベルの成績だった。

 しかし、OECD加盟国全体では3分野の平均点が過去最低となった。特に読解力は、比較可能な35のOECD加盟国で2018年から2025年までに平均25ポイント低下した。OECDは20ポイント程度をおよそ1年分の学習に相当する目安としており、2025年の15歳の読解力は平均すると、7年前なら14歳に期待されていた水準だったとしている。

◆「ざっと読み」が蔓延 注意力も低下
 特に読解力の総合スコアは、過去3年間で急激な低下が見られ、AI時代において重要性を増している「情報の評価」「複数の情報源の関連付け」「読んだ内容についての批判的思考」においても同様の傾向が確認された。文章を急いで読み、素早く間違った答えを出してしまう雑な読み方の割合は、2018年から2025年の間にほぼ2倍の9%に増加したという。

 OECDの教育・スキル担当局長のアンドレアス・シュライヒャー氏は、最近の成績低下をインスタグラムやTikTokなどで短い動画が主流となっていることと関連付けている。ただし、調査はこうしたデジタル機器の利用と学力低下との直接的な因果関係を証明したものではない。報告書は、ソーシャルメディアのフィードをざっと読み流し、情報を急速に処理することが、複雑な文章やデータに取り組む能力や意欲の低下の一因となっている可能性があるとしている。

◆AIは使い方次第 AI活用の格差が広がる恐れも
 AIの利用と成績との関係は複雑で、どのように、どんな目的で利用するかによって異なるという。理科の分野では、AIをほぼ毎日利用した生徒は、ほとんど利用しない生徒に比べ、読んだ文章の要約や下書きに関する能力が著しく低い傾向が見られた。一方、学習の助けとしてAIを利用した生徒については、その影響はそれほど大きくなかった。

 シュライヒャー氏は、AIに宿題を代行させるのではなく、ソクラテス式問答法(答えを直接教えず、相手に的確な問いを次々投げかけることで、気づきや結論に導く対話手法)を通じて生徒が学べるようなAIツールであれば、教育の質を高めることができるだろうとしている。

 調査ではまた、一般的な目的で定期的にAIを利用し、学校でAIリテラシーを養う学習機会を得ている生徒は、理科の得点がわずかに高くなる傾向があることが判明した。しかし、こうした学習機会は社会経済的に恵まれた生徒の間でより一般的であり、AI活用をめぐる格差が広がる恐れがあると指摘されている。

Text by 山川 真智子