FIFA会長への反発拡大 UEFAが法的措置、再選にも暗雲
FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長(7月20日)|A.RICARDO / Shutterstock.com
27日にモナコで行われたチャンピオンズリーグの抽選会では、欧州サッカー界の幹部らの間で、苦境が深まる国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長が話題の中心となった。
欧州サッカー連盟(UEFA)は、インファンティーノ氏への批判の先頭に立っている。1か月前、ワールドカップの収益権を投資家に売却しようとする計画が明らかになり、サッカー界に深い亀裂を生んだ末に頓挫した。
UEFAに加盟する多くのサッカー協会は、2027年3月に再選を目指すインファンティーノ氏への支持を撤回し、一部は辞任を求めている。
インファンティーノ氏は、辞任する考えを示す様子をまったく見せていない。
FIFA会長への反発が強まっている背景について、知っておくべきことをまとめた。
◆UEFA、法的措置で圧力強める
UEFAは27日、FIFAが本部を置くスイスで、不適切な運営の疑いを巡ってインファンティーノ氏に対する刑事告発を検討し、その準備を進めていることを明らかにし、対立をさらにエスカレートさせた。
UEFAはアメリカの裁判所に申し立てを行い、インファンティーノ氏の計画に関する証拠の開示を求めた。この計画は、ジョシュア・クシュナー氏率いる民間投資家に42億ドルと引き換えに、将来のワールドカップなどFIFA主催大会の利益の一部を受け取る権利を与えるというものだった。
激しい反発を受け、FIFAは計画が公になってからわずか数日後の8月1日、この提案を撤回した。
UEFAの弁護士はこの計画について、「インファンティーノ氏とそのごく少数の側近が、FIFAや加盟協会、サッカー界のその他の関係者を犠牲にして、FIFAの最も価値ある資産に恒久的な持ち分を得たり、そこから利益を上げたりするための手段」だと批判した。
FIFAはUEFAの動きについてコメントしていない。この動きによってインファンティーノ氏への圧力が強まるだけでなく、すでに解任されたFIFAの最高執行責任者(COO)が「インファンティーノ氏の発案だった」と述べたプロジェクトを巡り、ほかのFIFA職員が法的責任を問われる可能性もある。
また、クシュナー氏への監視の目も一段と厳しくなる。クシュナー氏は、ドナルド・トランプ米大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏の弟で、現在、ロサンゼルス・レイカーズを120億ドルで買収する案件に関与している。
インファンティーノ氏を批判する人々のなかには、来年の選挙を待たずに辞任することを望む声もある。
ノルウェーサッカー連盟のリーゼ・クラヴェネス会長はモナコで、「インファンティーノ氏は、これまで歴史上見たことのないような形で世界を分断している」と述べた。
ノルウェーサッカー連盟は、ワールドカップへの投資計画が明らかになった後、インファンティーノ氏に明確に辞任を求めた最初のFIFA加盟協会となった。
◆インファンティーノ氏の再選、もはや既定路線ではない
わずか数か月前、アメリカ、カナダ、メキシコでのワールドカップを控えていた頃には、インファンティーノ氏はFIFA加盟協会の明確な過半数から支持を受け、2027年3月の選挙で対立候補なしのまま再選されるとみられていた。
しかし現在は状況が不透明になっている。UEFAに加え、アジアサッカー連盟(AFC)、北中米・カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)が、インファンティーノ氏に「欺かれた」として批判しているためだ。
これら3つの地域連盟に所属する協会を合わせると、FIFA加盟協会の過半数を占める。ただし、AFCやCONCACAFに属する複数の協会は引き続きインファンティーノ氏への支持を表明している。アフリカや南米でも、FIFAからの資金援助に依存する協会を中心に支持が続いている。再選には、FIFAに加盟する211協会の半数をわずかに上回る票が必要となる。
インファンティーノ氏は22日、FIFA副会長でCONCACAF会長のビクトル・モンタリアーニ氏から訪問を控えるよう求められていたにもかかわらず、ドミニカ共和国を訪れ、カリブ海地域のFIFA加盟協会関係者らと面会した。
クシュナー氏が支援する42億ドルの投資計画では、FIFAの211加盟協会それぞれに2000万ドルを提供することになっていた。カリブ海地域の25の加盟協会にとっては、財政状況を一変させるほどの巨額の資金となる。
26日、インファンティーノ氏のインスタグラムには、ベトナムに滞在している様子が投稿された。
今のところ、インファンティーノ氏に対抗して立候補する人物は現れていない。立候補の締め切りは11月18日で、FIFAの地盤が強いモロッコのラバトで行われる選挙の4か月前となる。
◆サッカー界の今後の主な日程
インファンティーノ氏は、9月5日から27日までポーランドで開催されるFIFA主催のU-20女子ワールドカップに合わせ、近く同国を訪れるとみられている。しかし、モナコにいたポーランドのサッカー関係者の1人は、インファンティーノ氏が同国を訪れる予定なのか「まったく分からない」と語った。
FIFA職員はインファンティーノ氏の居場所を知るためにインスタグラムを見る、というのは以前からのお決まりの冗談となっている。
UEFAは9月15日、ギリシャのテッサロニキで執行委員会を開く。
欧州のクラブを代表する団体「欧州サッカークラブ協会(EFC)」は9月29日、コペンハーゲンで会合を開く。インファンティーノ氏が20億ドル規模の大会にしたいと考える2029年クラブワールドカップを運営するため、FIFAとの合弁事業に関する契約締結が近づいている。
同団体を率いるパリ・サンジェルマン(PSG)のナセル・アル・ケライフィ会長は、UEFAの重要な盟友である一方、今回の危機でインファンティーノ氏を支持しているカタールの政府関係者でもある。
By GRAHAM DUNBAR AP Sports Writer




