謎の1993年製「スーパーマリオ」97本、倉庫で発見 未流通の美品を競売へ

ウィスコンシン州の倉庫で再発見された、未流通の約100本の海外版ファミコン用ソフト|Nintendo Wire via AP

 数年前、ウィスコンシン州のポップカルチャー専門店のオーナーが、任天堂ゲームの著名なコレクター、ジェイソン・ガノス氏に、何年も倉庫に眠っている「スーパーマリオ」のカートリッジが入った箱があると話した。ガノス氏はその言葉に思わず足を止めた。

 ガノス氏によると、中に入っていたのは、1988年に発売された任天堂の人気ゲーム『スーパーマリオブラザーズ/ダックハント』の「まったく傷みのない極めて良好な状態」のカートリッジ97本という、非常に珍しいコレクションだった。

 初期調査の結果、これらのカートリッジは、これまで知られていなかった同ゲームの新たなバリエーションであるだけでなく、確認されている中で最も遅い製造日のものだと分かった。

 カートリッジの大半は、8月14日から9月9日まで開催されるオンラインオークションに出品される予定だ。

 「今起きていることが、いまだに信じられない」とガノス氏は語った。「こんなことが起きたのは、ある意味、思いがけない幸運だったと思う。今でも自分にとっては本当に奇妙な出来事だ」

 全身に任天堂関連のタトゥーを入れるほどの熱狂的なファンで、任天堂の発表や懐かしい話題を扱うニュースサイト「ニンテンドー・ワイヤー(Nintendo Wire)」を10年以上運営してきたガノス氏は、これらのゲームにどれほどの価値があるのかについては、あえて予想しないと話した。

 しかし、箱を目にした瞬間、特別な品であることはすぐに分かったという。

 「まるで聖杯を掘り当てたような気分だ」とガノス氏は語り、その後、「本当に見事な状態だ」と付け加えた。

◆倉庫に眠っていた97本のカートリッジ
 発見のきっかけは、ミルウォーキー郊外のウォキショーにある「One Stop Wonders」のオーナー、ケビン・ブラウン氏が、一般的な任天堂のゲームやポケモンカードなど、手持ちの品の売却を手伝ってほしいとガノス氏に依頼したことだった。

 ブラウン氏はその際、何年も倉庫に保管されていたマリオのカートリッジの箱について話した。ブラウン氏によると、それらはもともと、価値がほとんどないと考え、金属スクラップとして処分するために保管していた顧客の家族から買い取ったものだったという。

 ブラウン氏が持っていた『スーパーマリオブラザーズ/ダックハント』のカートリッジは、任天堂が同セット商品の製造を1991年に終了してからかなり後の1993年に製造されていた。ブラウン氏とガノス氏は、なぜこれらが製造されたのかについて今も確かなことは分かっていないが、保証交換用だったか、大手量販店向けに企画されたものの実現しなかったセット販売用の商品だったのではないかと推測している。

 これらの品が貴重なものかもしれないと気付いたガノス氏は、すぐに飛行機を予約した。

 「97本のカートリッジを機内持ち込み手荷物に入れてカリフォルニアへ飛んだ。TSA(アメリカ運輸保安庁)の保安検査を通る時は、『なぜ機内持ち込み手荷物に小さな基板を97個も入れているんだ』と思われるんじゃないかと、冷や汗ものだった」とガノス氏は当時の心境を振り返った。

◆97本のうち5本が「10点満点」
 ガノス氏は不安を抱えながらも空港の保安検査を通過し、ビデオゲームの専門家らと面会した。カートリッジの真贋を確認して状態を評価してもらい、市場価値の目安を得るためだった。

 ガノス氏によると、それまで鑑定会社プロフェッショナル・スポーツ・オーセンティケーター(PSA)のビデオゲーム鑑定で、10点満点を獲得したカートリッジは1本もなかった。

 ガノス氏が所有する97本のうち、5本が10点満点を獲得した。

 オークションでどれほどの価格がつく可能性があるかについて、ガノス氏は「10点評価の品には歴史的な意味があると思う」と語った。「第一に、このゲームは非常に多くの人にとって子供時代の思い出そのものだ。そして第二に、NES(海外版ファミコン)のカートリッジで10点が付いた例はこれまで一度もない」

 非常に珍しいビデオゲームのカートリッジ、特に独自の製造履歴を持つものは、コレクター市場で10万ドル単位から100万ドル単位の価格で取引されることがある。ガノス氏によると、今回の97本は保存状態が極めて良いという点でも特別で、コミック本やスポーツカードと同様、状態が良いものほど高値で取引される傾向がある。

 ガノス氏は、これまで見てきたほかのビデオゲームのコレクター品とは比較できないため、これらのカートリッジが最終的にどれほどの価値になるかは見積もれないという。数百ドルかもしれず、数千ドル、あるいは数万ドルになる可能性もあると話した。

◆10点評価のうち3本をオークションへ
 ガノス氏とブラウン氏は、14日から始まる「Golden Pop’s Culture Auction」で、10点満点を獲得したカートリッジ5本のうち3本だけを出品する。2人はそれぞれ10点評価のカートリッジを1本ずつ手元に残すほか、9点台後半の高評価を受けたカートリッジも数本保管する予定だ。

 購入者が望めば、実際にゲームをプレイすることもできる。しかし、極めて良好な状態が保たれているため、ガノス氏はできればその状態のまま保存してほしいと考えている。

 「市場に一度も出回っていない品を見つけるのは、私にとって本当に興奮することだ」とガノス氏は語った。「このゲームは、私が人生で初めてプレイしたビデオゲームだった。『マリオ/ダックハント』は、私の子供時代の本当に大きな部分を占めていた」

 ブラウン氏とガノス氏は、現在のオークションが終了した後、チャリティーオークションを開催することも計画している。

By CARA ANNA and MONIKA PRONCZUK Associated Press

Text by AP