なぜ「口元を隠す」とレッドカードなのか サッカーW杯新ルール導入の理由
エクアドル代表のピエロ・インカピエ選手(左)に退場を告げるビンチッチ主審|Natacha Pisarenko / AP Photo
ワールドカップ出場選手は大会前、他の選手と言い争う際に口元を隠した場合は即座にレッドカードとなる新ルールについて警告を受けていた。
審判団はこの新ルールを厳格に運用している。
直近では、6月30日(日本時間7月1日)、決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)でエクアドルがメキシコに2-0で敗れた試合の後半アディショナルタイムに、エクアドル代表DFピエロ・インカピエ選手が退場処分を受けた。試合はその直後に終了したため、このレッドカードが試合結果に影響を与えることはなかった。
インカピエ選手は、メキシコ代表FWサンティ・ヒメネス選手との口論の末にレッドカードを提示された。
◆なぜFIFAは新ルールを制定したのか?
国際サッカー連盟(FIFA)がこの新ルールを導入した目的は、選手がピッチ上で暴言や差別的、あるいは侮辱的な発言を口元を隠して行うことを防ぐためだ。
「プレスティアンニ・ルール」とも呼ばれるこの規定は、今年の国際サッカー界で起きた論争を受けて、ワールドカップで新たに導入された。
ベンフィカのFWジャンルカ・プレスティアンニ選手が、チャンピオンズリーグの試合でレアル・マドリードのFWヴィニシウス・ジュニオール選手に対する暴言を口元を隠して発したとされる出来事を受け、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長がルール変更を推進した。サッカーの競技規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)は、他の選手と口論する際に口元を隠した選手をレッドカードの対象とすることに合意した。
このルールは競技規則そのものに義務付けられているわけではないが、FIFAのような大会主催者が裁量で採用できる選択肢となっている。
FIFA総会に先立って開かれた特別会議で、FIFAとイギリスの4つのサッカー協会の代表で構成されるIFABは、このルール変更を全会一致で承認した。きっかけとなったのは、ヴィニシウス選手が、レアル・マドリードのチームメートであるキリアン・エムバペ選手の後押しを受け、2月の試合でプレスティアンニ選手がユニフォームで口元を隠し、人種差別的な侮辱を行ったと告発したことだった。
◆ピエロ・インカピエ選手だけがレッドカードを受けたのか?
いや、そうではない。パラグアイ代表MFミゲル・アルミロン選手が、トルコとのグループリーグ戦でDFメルト・ミュルデル選手との口論の際に口元を隠したとして退場となり、新ルールの適用による最初の処分者となった。
パラグアイは1-0で勝利したものの、アルミロン選手はグループリーグ最終戦のオーストラリア戦を出場停止となった。FIFAは、この決定に対する異議申し立ては認められないとしている。
◆ワールドカップでレッドカードを受けるとどうなるのか?
選手が審判からレッドカードを提示されると、その試合から退場となり、次戦は1試合の出場停止処分を受ける。
チームはその試合の残り時間を10人で戦わなければならず、大きな不利を強いられる。一方、次の試合では出場停止となった選手を除き、11人で通常どおり試合を開始することが認められている。
By STEVE REED AP Sports Writer




