「ついに完成形」新型Z NISMOを米メディア絶賛 MT追加だけではない進化とは

日産自動車

 日産自動車が北米向け2027年型「Z NISMO」(日本名:フェアレディZ NISMO)に6速MTを追加したことについて、アメリカの主要自動車メディアから高い評価が相次いでいる。

 各媒体はカリフォルニア州ソノマ・レースウェイで実施された試乗会に参加し、サーキット走行を通じて改良点を評価した。

 従来のZシリーズにはMT設定が存在したものの、高性能版「Z NISMO」は9速AT専用だった。しかし今回の改良では待望のMTを追加。さらにブレーキやサスペンション、ステアリングにも改良が施されたことで、「ようやく完成形になった」と受け止める声が目立っている。

 カー・アンド・ドライバーは「ATを選ぶ理由が分からない」と評し、エドマンズは「最高のZ」と表現。ハガティは「Iteration Complete(ついに完成)」との見出しを掲げた。また、ロード・アンド・トラックは「待ち望んでいたZ」と紹介し、ジャロプニックも「最初からMTを設定すべきだった」と皮肉交じりに評価している。

◆MT追加だけではない GT-R由来ブレーキなど大幅改良
 2027年型Z NISMOは、単なるMT追加モデルではない。

 3リッターV6ツインターボエンジンは最高出力420馬力、最大トルク384lb-ft(520N・m)を発生。新たに6速MT仕様が追加されたほか、GT-R由来の15インチ2ピースブレーキローターを採用した。

 これにより前輪まわりで約19ポンドの軽量化を実現。サスペンションやステアリングも再調整され、サーキット走行時の安定性向上が図られている。

 さらに、サーキット走行時に問題となっていた燃料偏り対策として、燃料タンク内部構造も見直された。

◆「本来あるべき姿」 MT追加を歓迎する声
 今回、各メディアが最も強く反応したのは、やはりMT追加だった。

 カー・アンド・ドライバーは、「420馬力の後輪駆動スポーツカーにMTを組み合わせた“特別な公式”」と表現。さらに「このクルマでATを選ぶ理由が分からない」と述べた。

 エドマンズも、「ATの方がサーキットでは速い」としながらも、「ドライバーとの一体感を最大限に高めるなら、間違いなくMTだ」と評価した。

 ハガティは、「強い要望によって“3つ目のペダル”が戻ってきた」と説明し、「MTが標準、ATがオプションになった」と紹介。

 ザ・ドライブも、「MT仕様は“精神的に正しい”と感じられる」と表現。「現代では珍しくなった、素直なFRスポーツクーペだ」と評価している。

◆「単なるMT化ではない」 シャシー性能も高評価
 各媒体は、ブレーキや足回りの改善にも注目している。

 ロード・アンド・トラックは、「これまでで最も完成度の高い新型Z」と評価。「より正確でコミュニケーション性の高いステアリングになった」と述べた。

 また、ザ・ドライブは「ステアリング、シャシー、ライン取りの安定性まで全体が引き締まった」と指摘。「GT3のような本格レーシングカーではないものの、ドライバーに誠実なクルマだ」と評している。

 ハガティも、「シャシーはより統一感があり、正確性とバランスに優れる」と説明。スープラやBMW M2、マスタング ダークホースと比較しながら、「この価格帯では独自の魅力を持つ」と評価した。

◆一方で価格や完成度には厳しい声も
 一方、各媒体は価格面への懸念も示している。

 ロード・アンド・トラックは、2026年型Z NISMOの価格が約6万7000ドル(約1070万円)だったことを踏まえ、想定価格が7万ドル近くになれば、「BMW M2やフォード マスタング ダークホースと比較して厳しい」と指摘。また、「MT化によって改善されたとはいえ、シフトフィールはホンダ・シビック タイプRやマスタング ダークホースほど優れてはいない」とも評した。

 ジャロプニックも、「NISMOのサスペンションはかなり硬く、一般的なユーザーには厳しい可能性がある」と指摘している。

 さらにハガティは、「エンジンにもう少しキャラクターが欲しい」と述べ、BMW M2やダークホースに比べると存在感では一歩譲るとした。

◆MTスポーツ減少の中で存在感
 それでも、米メディア全体の論調は好意的だ。

 ハガティは、スープラ終了やカマロ生産終了によって「MTを備えたFRスポーツクーペは貴重な存在になった」と指摘。

 電気自動車(EV)化や高性能AT化が進む中、2027年型Z NISMOは「アナログ志向のスポーツカー」としての魅力を強めたモデルとして受け止められているようだ。

Text by 白石千尋