「Oculus Go」海外レビュー スマートなオーディオも、まだ「オタク感」拭えず?
SNS最大手のフェイスブックは、5月1日と2日に開催した開発者会議「F8」において、スタンドアローン型VRヘッドセット「Oculus Go」を発表した。ソーシャル体験の未来はVR空間にあると考える同社は、Oculus GoでVRの本格普及を目論んでいるが、こうした目論見に対して、海外メディアのレビューからは手厳しい声もあがっている。
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◆「Oculus Go」とは
現在流通しているVRヘッドセットは、モバイル型VRヘッドセットとハイエンド型VRヘッドセットの2種類に分類される。モバイル型VRヘッドセットは、スマホメーカー大手サムスンがリリースしたGear VRのようにスマホを挿入して使用するタイプのモノだ。対してハイエンド型VRヘッドセットは、フェイスブックが買収したOculus社からリリースされたOculus Riftのように高性能なPCに接続して使用するモノだ。両者にはグラフィック性能やユーザの動作をトラッキングする能力に違いがあるものも、その使用にはVRヘッドセット以外のモノが不可欠であるという共通点がある。
それらとは違い、今回発表されたOculus Goは、VRヘッドセットのみでVR体験が可能なスタンドアロン型だ。注目すべきはその価格で、23,800円で購入できる。この価格設定は、つい先日PCメーカーのレノボがリリースした同タイプのVRヘッドセット「Lenovo Mirage Solo」の51,200円(税別)と比べても非常に安価である。
◆VR体験を万人に
VRを万人に普及させる強い意思が感じられる同ヘッドセットに関して、海外メディアは称賛を声を寄せている。テック系ニュースサイト『The Verge』は、Oculus Goは「Gear VRの兄弟のようなもの」としながらも、モバイル型と比較したら「その家族のなかでは優等生」だと評する。そして、同ヘッドセットの最大の成果は「モバイルVRコンテンツへのアクセスをより簡単にしたこと」と述べている。デジタル製品レビューサイト『トムズガイド』もまた、同ヘッドセットに象徴されるスタンドアローン型VRヘッドセットの台頭は「VRの進化において必要不可欠のように感じる」と評価している。
ビジネスインサイダーのレビュー記事は、同ヘッドセットのストラップ部分に内蔵されたスピーカーに着目している。同記事では、この内蔵スピーカーをVR体験におけるオーディオを扱う「ものすごくスマートな方法」と絶賛している。というのも、従来の VRヘッドセットは基本的に別途ヘッドフォンを装着して使用されるのに対して、同ヘッドセットはもはやヘッドフォンも必要ないからだ。
◆まだ「オタク」のもの?
以上のようにVR体験をより身近にすると期待されるOculus Goは、一方でそのルックスや存在感には苦言が呈されている。The Vergeは、同ヘッドセットがGear VRより軽量化を実現したものも、やはり装着していたら「顔に赤い痕が残り」、装着している姿を見たヒトからは滑稽に見えるだろう、と述べている。トムズガイドもまた、同ヘッドセットがPCに接続しなくても使えるからといって「オタクっぽさ」から手を切ったわけではない、とやや手厳しく評している。
さらには対応アプリに関しても課題が指摘されている。The Vergeは同VRヘッドセットでプレイできるゲームが、依然としてその内容のチープさから「編み物ゲーム」と揶揄されるレベルに留まっているとコメントしている。トムズガイドもまた、(PCゲームやプレイステーションにおける)コール オブ デューティのようなキラーコンテンツがまだ誕生していないことを問題と捉えている。
またビジネスインサイダーは、同ヘッドセットの内蔵スピーカーからはわずかに音が漏れるので、読書しているような人のそばで使用する時は、ヘッドフォンを付けて使用したほうがよい、と注意を促している。