日産、米市場で「最も急成長」? 販売減でも伸びる理由

日産自動車

 日産自動車グループは4月1日、アメリカでの2026年第1四半期(1〜3月)販売が24万7068台となり、前年同期比7.5%減だったと発表した

 一方で小売り販売は9.6%増え、3月単月でも7%増となった。6か月連続の小売り成長を受け、同社はアメリカで「最も急成長している主流ブランド」だとアピールしている。

 もっとも、その好調さは販売全体に広がっているわけではない。販売減にもかかわらず「急成長」とするその実態は、どこにあるのか。

◆SUV・トラックが成長をけん引
 伸びを支えたのはSUVとピックアップトラックだ。ピックアップトラックのフロンティアは47.9%増の2万1411台、SUVのパスファインダーは45.2%増の2万8554台、アルマーダは17.5%増の4593台と大きく伸長。

 このほかキックスは16.4%増の2万9517台、主力のローグも13.0%増の7万174台となり、競合のトヨタRAV4を上回った。

 全体でもトラック系(SUVやピックアップを含む)販売は14.4%増の17万7255台に達しており、需要がSUV系に強く傾いていることが鮮明だ。

◆セダンとEVは大幅減
 一方で、従来の主力だったセダンや電気自動車は大きく落ち込んだ。乗用車全体は37.5%減の6万9812台。ヴァーサは46.6%減、セントラは34.5%減、アルティマも35.9%減と軒並み減少した。

 電気自動車(EV)も厳しく、リーフは71.2%減の668台、アリアは98.6%減の56台にとどまった。

 高級ブランドのインフィニティも全体では3.2%減だったが、SUVのQX60は64.0%増と好調で、ここでもSUV偏重の傾向がみられる。

◆「成長」と「縮小」が同時進行
 今回の特徴は「総販売は減少しつつ、小売りは増加」というねじれた構図にある。生産終了車種の影響や販売構成の変化が、全体の台数を押し下げている。

 外部メディアは、日産が「最も急成長」とされる背景について、業界全体の落ち込みがより大きい中でシェアを伸ばした点を指摘する。つまり日産は、販売台数そのものは減らしながらも、市場内での存在感は高めている状態にある。足元ではSUV中心の戦略が奏功しているが、車種構成の偏りが進んでいることも事実だ。

 アメリカ事業は今、幅広いラインアップで台数を稼ぐモデルから、SUV・大型車に軸足を置く構造へと転換しつつある。今後はこの戦略が持続的な成長につながるかが問われる。

Text by 白石千尋