自動車の4つのメガトレンド、部品会社の課題とは ローランド・ベルガー調査

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 欧州系コンサルティング会社のローランド・ベルガーが、世界の自動車部品市場に関する分析結果をまとめた「グローバル・サプライヤースタディ 2018」を投資銀行のLAZARDドイツ法人と共同で発表した。2017年の世界の自動車部品市場は、グローバルで売上高が3%増加し、過去最高レベルで推移、利益率は昨年と同水準だった(金利税引き前利益率で約7%)。しかし、市場の成長速度には鈍化の兆しがみえるという。

◆世界市場の成長は続くものの、減速
 自動車生産台数は過去最高水準に達したが、伸び率は一部の地域で鈍化しており、北米のライトビークル(乗用車と車両総重量6トン未満の商用車を含む)市場は2017年に3%縮小し1,740万台になる見通しだ。2018年は、サプライヤーの売上高は伸び続けるものの成長ペースは鈍る。利益率は安定した水準を維持する見通しだ。

 LAZARDのディレクターであるクリストフ・ゾンダーマン氏は「全体的にかなり明るい景況感は、取引高が長期的な平均値を今も上回っているサプライヤーの企業評価額に反映されている。ただし、自動車産業における4つのメガトレンドは部品業界のあらゆる分野で混乱を引き起こしている」と指摘する。

◆4つのメガトレンド
1. 新しいモビリティ(移動手段)のビジネスモデル - ライドヘイリング(タクシー配車サービス )、カーシェアリングなど - が自動車の所有、個人的な移動手段、物流に大変革をもたらそうとしている
2. 完全自動運転が可能となる自動運転システム技術「レベル4」の開発スケジュールは、実現に必要な経済的側面、法規、技術の整備が順調に進み、前倒しされている
3. デジタル化では、人工知能がほぼ無限の可能性をもたらしており、相互接続性を可能にする技術は主流のアプリケーションとなるレベルに到達しつつある
4. 電動化への動きは規制当局やOEMの間で強まっており、技術の進歩も加速している

 これらの動きをみると、自動車業界が「終焉」を迎えることは避けられないように思われる。ただし、この移行期がきわめて不確実な状況にあることに変わりはない。自動車部品サプライヤーは、新たに生じた5つの変化に備える必要がある。それは、1)成長の鈍化、2)コア技術の変化の加速、3)重要な差別化要因として台頭するソフトウエア、4)ハードウエアのコモディティ化 5)コモディティ化したサプライヤーに対する(投資家からの株主価値向上への)圧力だ。

 ローランド・ベルガーのパートナー、フェリックス・モッゲ氏は「テクノロジーの転換においてサプライヤーに求められるのは、従来の技術と新技術に並行的に投資することだ。新技術への投資から利益を得られるかは不確実なためである。コモディティ化された分野の利益率と評価レベルは今後、厳しい状況になるだろう。だが同時に、電動化とデジタル化が新たな収益源を開拓する選択肢を提供してくれる」と述べる。

◆現状に対する深い知識が必要
 こうした状況を念頭に置いて、ローランド・ベルガーとLAZARDは、サプライヤーが将来の成長機会を捉ようとビジネスモデルを転換する際に検討すべき要素を挙げている。

 その中に戦略とポートフォリオがある。自動車のメガトレンドはどのような影響をもたらすのか、どの製品が持続的に成長するのか、どの新規分野が現在のビジネスにうまく適合するのか、減産は必要なのか、あるいは一部のセグメントでは「ラストマン・スタンディング(最後まで生き残る)」戦略をとるのが賢明なのか、 モッゲ氏は「この破壊的な混乱をもたらすトレンドに対する深い知識がサプライヤーには不可欠だ。コストへのマイナス要因を量的な成長により相殺するというサプライヤーの現在のビジネスモデルはもう通用しなくなる」と指摘する。

◆開放性、スピード、柔軟性、イノベーションが不可欠
 サプライヤーの課題に対し、密接に関係してくるのが事業部門の売却と新たな成長分野への多角化だ。2017年の自動車部品業界で起こったM&Aの動きにすでに反映されている。イノベーション・パートナーシップはますます重要になってきており、すでに多くのパートナーシップが形成されているので、ことは緊急を要する。

 LAZARDのディレクター、ミハエル・シュミット氏は「サプライヤーへの圧力はOEMからも起こっている。OEMのビジネスモデルもメガトレンドによって崩壊しているからだ。サプライヤー、OEM共にカーシェアリング、自動運転、デジタル化、電動化という新たな成長分野における提携相手やM&Aの対象として同じ企業に注目している。加えて、バリューチェーンの配分や垂直統合の深度が今後どうなるかはまだ不確実である。」と述べている。

Text by 酒田 宗一