苦戦するフランス軍への支援の行方は?
マリ政府からの要請に応えて軍事介入し、主に空爆による作戦を行ってきたフランス軍。しかし、反政府勢力のイスラム過激派の想像以上の機動力、軍備、人員の前に苦戦を強いられている。長期化と泥沼化が危ぶまれるマリ内戦の行方を、海外各紙が占った。
15日、派遣する仏軍の規模を現在の750人から2500人に増派する考えを表明したオランド首相。ただし、あくまで「補助的」立場を堅持する構えで、「マリの安全が確保できればアフリカの人々に(今後の対応を)委ねる」とも発言。すでに、セネガル、ナイジェリア、ブルキファソの各国は援軍を準備中と伝えられるが、問題解決への一層の積極的な関与を周辺国に促した。
また、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、アラブ首長国連邦を訪ねていたファビアス外相も同日、「フランスだけではなく、すべての国がテロリズムと戦わなければならない」と述べ、支援を強く要請したという。
ファビアス外相が「すべての国」と強調したように、フランスが協調を望んでいるのは、周辺国だけではない。この点、イギリスその他のヨーロッパ各国やアメリカは支持と援助を表明しているという。しかし、すでに今回の軍事作戦の「長期化」を見越しているアメリカは、国内の賛否を見極めつつ援助の内容と程度を決める構えを見せており、情報提供以外の実際の動きはまだ表面化していない模様だ。
フィナンシャル・タイムズ紙の報道によれば、フランスの軍事力が、マリの反乱軍より優っていることは言うまでもなく、一時的な制圧能力には疑いがないとされている。ただし、問題はここでも「長期化」だという。未だ実行されない周辺国からの援助をただ待っていれば、誘拐や麻薬など手段を選ばず資金を稼ぎ、武器を調達し、13、4歳の子供兵までも動員して「核の使用に対してでもひるまない」態度を崩さないイスラム過激派の「ヒット・アンド・ラン」による犠牲にじわじわと消耗させられる恐れがあるという。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、軍事的介入としては極めて異例な75%という国内の圧倒的な支持率も、長期化と被害の拡大には持ちこたえられないと専門家は見ている。
一方ニューヨーク・タイムズ紙は、今回の介入について「フランスは全国民に地獄の門を開いた」というイスラム過激派のオマール・ウルド・ハマハ氏の発言を紹介。イスラム過激派の報復感情が、ヨーロッパをテロの恐怖に陥れる可能性を示唆したと報じた。
以上見てきたように、フランスにとっての頼りは、国際各国の支援と協調だという。ファビアス外相はフランスの軍事行動の目標は三つあるとしている。第一に、「テロリストの侵攻阻止」。第二に、「マリの領土統一」。第三に、「マリ情勢に対する、安保理決議に基づく措置実行の確実化」。この目標達成如何に、マリとフランスの命運がかかっていることを強くうかがわせる報道となった。