たとえ報酬がもらえてもジムにもっと通う気にはならない 米研究

Gorodetskaya Nadezhda/shuterstock

 ダイエットのため一念発起してジム通いを始めても、結局は三日坊主になってしまう人はよくいる。そのような人に追い打ちをかけるような研究結果がアメリカにて発表された。ギフト券などの報酬が約束されても、ジム通いの頻度に改善は見られなかったのだという。

◆報酬ありでもジム通いの頻度に変化なし
 実験が行われたアメリカでは国民の健康状態が問題化しており、アメリカ疾病予防管理センターによると、たった21%のアメリカ人しか推奨されている量の運動をしていないのだという。いったいどうすれば国民の健康状態を改善できるのか。

 アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究によると、ジムに入会したばかりで定期的に通うと期待されていた人は、たとえ報酬を与えられていたとしても、ジム通いへの熱心さに全く変化が見られないということが明らかになった。少なくとも経済的な動機づけは助けにならないということが研究により証明された。

 今回の研究論文の共同執筆者であるマリアナ・キャレラ氏は「彼らは定期的に運動したがっていますが、報酬が与えられたとしても、彼らの目的と行動は結びつかないのです」と述べている。

◆一定の頻度でジムに通ったものには報酬を提供
 実験では、条件達成時に報酬が与えられるグループと条件なしに報酬が与えられるコントロールグループに分けられた。前者は、6週間のうち合計9回ジムに通うことができた場合には、以下の3つの報酬のうち1つを与えられるよう約束された。それらは30ドルのアマゾンギフトカード、同等の価値があるミキサーなどの賞品、もしくは60ドルのアマゾンギフトカードであった。コントロールグループは、ジムに通った頻度に関係なく30ドルのアマゾンギフトカードを受け取った。

 実験の結果、ギフトカードや賞品が被験者のモチベーションを上げたという事実はほとんど観察されることはなかった。報酬を受け取るために十分な回数だけジムに通うことのできる最後のチャンスであった第六週目には、かすかに条件達成型報酬のある被験者のジムへと通う頻度は上がった。しかし総じて見れば、たとえ報酬によって動機づけられたとしてもジムへと通う頻度はたった週0.14回しか増えなかった、と研究は評価している。

◆ジム通いの決心は経済的な動機づけとは無関係
 マリアナ・キャレラ氏は、「人をジムへと通うことを決心させるときに内から涌き上がってくるようなモチベーションと、人を経済的な動機へと駆り立てるものは相容れないものです」と分析している。ジム通いを継続させるために、頼りになるのは己のみ、ということなのだろう。

 考えてみれば、もしジム通いが経済的な観点で動機付けられるのだとすれば、ジムに毎月の定額の利用料を払っているのにもかかわらず通わないという典型的な三日坊主パターンは発生しないはずだ。体を鍛えることは、自分自身に打ち勝つことが肝要ということだろう。

Text by Yota Ozawa