アサド大統領の強硬姿勢で国際社会は介入か?交渉継続か?

アサド大統領の強硬姿勢で国際社会は介入か?交渉継続か? 6日、シリアのアサド大統領は、6ヶ月ぶりに公の場に姿を現し、国民に、反体制派と戦うよう呼びかけるとともに、国際的な和平案を「内政干渉」と切って捨て、自らが「大統領として」政治改革に取り組む覚悟を述べた。
 この、自身の退陣を頑として認めない提案は、平和的、政治的な解決を望むすべての人々に失望をもたらし、反体制派グループはもとより、アメリカ、EU、トルコ、サウジアラビアなどの各国から一斉に「権力への固執だ」と反発を受けたという。
 海外各紙は、出口の見えないトンネルに入り込んだシリア内戦の現状を分析するとともに、今後の推移を占った。

 ダークスーツに身を固め、信奉者の熱い喝采を浴びながら「シリア国民を苦しめ、戦乱によって時代を逆行させるテロリスト」を断罪し、内政干渉してくる諸外国の「命令には屈しない」と胸を張り、「シリアの子どもたちの目には喜びがなくなっている」と国民の窮状を憂いてみせたアサド大統領。これについて、フィナンシャル・タイムズ紙は、なにより国内外の識者や一般国民の怒りや失望を招いたのは「戦火をまるでよそごとのように」2年来の主張を繰り返す、超然とした大統領の態度や口ぶりだったと報じた。大統領に対し、当初の穏健な体制批判のデモに対する暴力的、威圧的な姿勢こそが今日の泥沼を招いたと、責任を追求する見方は強いという。

 では、国民は、反体制勢力を支持しているのだろうか。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じたところによれば、7月の軍事行動でアレッポを掌握したとされる反政府勢力だが、その内部にすら、これを失敗と分析する声は高いという。軍事的成功とは裏腹に、多くの歴史的遺産を失わせたためだ。地元からは「収拾のつけられない戦いを始めた」反政府勢力に対して、そして、より強力な重火器の所持や使用を反政府軍に許さない国際勢力に対して、怒りが高まっているという。
 しかも、こうした政府軍と反政府軍の戦局膠着の隙をついて、イスラム主義勢力が力を伸ばしているともされる。アメリカは、一部の原理主義者の勢力拡大を強く警戒しているが、たとえばアルカイダの分派であるジャバット・アル・ヌスラの力は強く、かやの外には置けない模様。アサド大統領の退陣がなるのか、なったとしたらシリアの未来はどうなるのか、不安がまん延しているという。

 ニューヨーク・タイムズ紙によれば、今回の演説を受け、シリアを取り巻く国際勢力による、外部からの事態の打開は一層困難になった。比較的中立的立場の、国連のブラヒミ特使も、介入の糸口を失った格好であり、国連安保理事会における拒否権を盾に軍事的介入を食い止めてきた長年の同盟国、ロシアの限界も近い。そうなれば、あとは、アメリカをはじめとする、反体制勢力支持の「シリアの友人」がより強硬な介入に踏み切るか、あるいは、手をこまねいて、内戦の継続を放置するよりほかはないという。

Text by NewSphere 編集部