ドイツ、再生可能エネルギーが電力の85%を記録! それを積極的に支える小さな村々
4月30日日曜日は3連休の中日で、暖かく風の強い1日だった。この日ドイツでは、風力、太陽熱、バイオマス、風力などの「再生可能エネルギー」が、午後1時から3時の電力総生産量の85%を占めるという新記録を樹立した。供給が需要をあまりにも大幅に超えたため、電気料金が一時マイナスになるという現象まで起きた。
◆2030年にはごくあたりまえの1日に
政府主導のエネルギー移行計画、エナギーウェンデを推進するシンクタンク、アゴラ・エナギーウェンデによると、この日、化石燃料の発電所は午後3時から4時に稼働しただけで、生産した電力は8ギガワットにも満たなかった(最大生産可能量は50ギガワット)。ほとんどの発電所は稼働さえしていなかった。原子力発電も著しく低かったという。
アゴラ・エナギーウェンデのパトリック・グライヒェン氏は、オーストラリアのエネルギー関係専門誌リニューエコノミーに、このような日曜日は、2030年にはごくあたりまえの1日になると語っている。そしてそれは、政府主導のエナギーウェンデ計画のおかげだと加える。
◆エナギーウェンデとは
エナギーウェンデでは、2050年までに再生可能エネルギーの発電比率を80%に引き上げることを目指している。中間目標は2025年の 35〜40%、2035年の60%に設定。また、2022年までに原子力発電から完全撤退することも宣言している。それ以前は原発推進国であったドイツが撤退を決めたのは、やはり2011年の福島第一原子力発電所事故がきっかけだった。
持続可能な電力プランにはヨーロッパ全体が取り組んでいるが、やはり一歩リードしているのはドイツのようだ。エナギーウェンデという名称も、英語でそのまま使われることが多い。インデペンデント紙によると、イギリスは2020年までに20%の電力を再生可能エネルギーで賄う目標を立てていたが、どうやら15%ほどしか達成できそうにないと、エネルギーと気候変動委員会の議員たちが政府に報告した。
◆小さな村の取り組み
ドイツを牽引しているのは、自治体レベルでの積極的な取り組みかもしれない。バイエルン地方、アルプス山脈に向かうのどかな草原を電車で旅していると、突如としてソーラーパネル満載の家屋が密集した村々が現れることがよくある。そんな村のひとつ、人口2千5百人ほどの小さな村、ウィルドポルズリードでは、必要とされる電力量以上を再生可能エネルギーで賄っている。200年以上酪農を営んできたベヒテラー家は、自分たちは使わないが、太陽光発電は家族の新たな収入源になっていると、エコノミスト・フィルムズがフェイスブックに投稿したショートビデオで語っている。
太陽光発電自体はもはや目新しいアイディアではない。問題は、太陽光発電や他の方法を使って、いかに安定した供給を得るかだ。「たとえば、牛はいつでも肥料を生産できる」と、ウィルドポルズリードのギュンター・メーゲレ村長は同ビデオで語る。「太陽がなくても、風がなくても、100%以上の電力供給ができることを証明できる」と自信を見せている。
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