火星で観測された海岸線があったことを示す地層 「生命が存在する証拠を探す絶好の場所」
画像はイメージ(Flicker/ Kevin Gill )
アメリカの科学雑誌『PNAS』に公開された研究論文によると、かつて火星の表面に大量の水と思われる液体が存在していたようです。
2021年5月に火星のユートピア平原に着陸した、中国の火星探査機「祝融号」の地中レーダーが、海岸線を示す傾斜した地層を観測しました。
火星に水があった可能性
研究論文によると、ユートピア平原に広範囲にわたって堆積物のある地層が6〜20度の傾斜で一方向に1.3kmほどまで伸びていることが判明。
これは地球の海岸堆積物の角度とほぼ同じであることから、36億年前の火星の表面には地球のように水域があった可能性を示唆しているそうです。
科学ニュースリリース『EurekAlert!』に2025年2月24日に掲載された記事の中で、カリフォルニア大学バークレー校の地球惑星科学科のマイケル・マンガ教授(Michael Manga)はこの堆積物について次のように説明しています。
「この地層は砂丘でもなければ、何かが衝突したクレーターとも思えませんし、はたまた溶岩流にも見えませんでした。
それで私たちはこれが海だったのではないかと考えたのです」
「これらの地形の向きは、かつて海岸線だったであろうものと平行しており、長期にわたって砂浜が堆積していたと思われます。
それは海が存在していたということを裏付けるのに十分な向きと傾斜をしているのです」
かつて火星に海があったとなると、そこに生命が存在していた可能性も考えられます。
ペンシルバニア州立大学の地質科学のベンジャミン・カルデナス助教授(Benjamin Cardenas)は声明で、「この海岸線付近は生命が存在する証拠を探すのに絶好の場所である」とコメント。
今後の火星探査にさらなる注目が集まることは間違いないようです。