2016年の英語、話せますか?「dumbphone」しながら「manspread」しないで!
昨年末、Emojiがオックスフォード英語辞典の「2015年の流行語大賞」に選ばれた件は記憶に新しいだろう。年末になると、その年の流行語を振り返るのは日本も英語圏も同じだ。
しかし、翌年の流行語を予想するのは難しい。なかにはまだ生まれていない言葉もあるだろう。だが、すでに流行の兆しを見せている言葉や、逆に、使われ過ぎて死語になりつつある語から、その動向を予測することはできる。
◆テク系が来る?
エコノミスト誌は年末、2016年の流行語の予測記事を掲載。それによると、一般にテクノロジー関係の語が強いだろうとのこと。名詞の動詞化は英語では非常によく見られる現象だが、かつてはfaxや e-mail、近年では Facebookや Googleが、I googled it.「ググりました」のように動詞として使われるようになったように、新しいSNS、たとえば チャットサービスのSlack や 個人間の送金アプリVenmoが動詞化するかもしれないと予測する。
また、スイスのPunkt社は、電話と携帯メールなど最低限の機能しかないスタイリッシュなガラケーを発売したが、このヒットによってはスマートフォンならぬdumbphone「ばかな電話」などという言葉が流行るかもしれない。
若者言葉の流行を予測するのはさらにむずかしい。若者言葉はたいていサブカルチャーから発生する秘密の合言葉のようなもので、あまり一般に広がりすぎると急にそっぽを向かれてしまうからだ。今や日本でも使われるようになったLOL (laughing out loud/lots of laughs) などは、すでに下降傾向にあるとFacebookも認めている。一方、昨今ではメールのやりとりなどが法的な記録として使用される危険が高まったことからLDL (let’s discuss live) 「会って話しましょう」などが広まり始めているという。(エコノミスト)
◆流行りすぎも考えもの
2016年に「流行らなくなる」言葉というのもあるだろう。アメリカのレイク・スペリオール州立大学は毎年、banished words「消えた言葉」というタイトルで、その年に使われ過ぎて飽きられたり嫌われたりした語を紹介。1975年の大晦日のパーティーで、職員が好きな言葉と嫌いな言葉のリストを作ったのが始まりと言われる。
記念すべき40周年に選ばれたのは、恋人などに対する呼びかけのbae (before anyone else、またはbabeの短縮)、 foodie「グルメな人」、friend-raising「友達作り」など。だが、使われ過ぎで飽きられたとは言っても、日本人の耳にはまだ入ってさえもいないような語も多い。
とはいえ、2013年はオックスフォード英語辞典の「今年の流行語大賞」もレイク・スペリオール州立大学の「消えた言葉」も、ともにselfie「自撮り」だった。時代を映す流行り言葉と死語とは、紙一重なのかもしれない。
◆男性諸氏は要注意!?
また、少し前にテレグラフは「オックスフォード・オンライン英語辞典に加えられた予想外の語ベスト10」というタイトルの記事を発表している。Grexit/Brexit「ギリシャ/イギリスのEU離脱(の可能性)」、 fat-shame「太めの人の体型をばかにすること」、 hangry (hungry + angry)「お腹が空いてイライラすること」など、おもしろい単語が満載だ。
とくに興味深いのがmanspread。man「男」+ spread「広げる」の造語で、電車の中など公共の場で、男性が脚を必要以上に広げて座るアノ行為を指す。周りに迷惑なのは、日本も英語圏も同じのようだ。実は同辞典は2014年、mansplain という語も加えているのだが、この意味がおわかりになるだろうか。これはman + explainで、「男の説教」つまり、男性が知ったかぶりして、女性に上から目線でうんちくをたれることだ。2年連続で男性の行為を揶揄する表現が流行っている。
どの言語についても言えることだが、言葉は生き物。こういった生の英語を学ぶと、英語学習もより楽しくなるのではないだろうか。しかし、せっかくmansplainした言葉がbanished wordになっていないよう、情報はこまめにチェックしたいものだ。