なぜ日本は児童ポルノ漫画を禁じない? BBCがレポート 内外ネットユーザーからは批判

 昨年6月、児童ポルノ禁止法が改正され、7月より施行となった。児童ポルノの製造、提供、提供目的の所持に加え、「自己の性的好奇心を満たす目的での」所持が禁止となった。漫画、アニメ、CG(ゲームなど)については、議論の末、同法の対象外とされた。当時、海外メディアでは、この点を大きく取り上げた記事が目立った。

◆日本での捉えられ方に踏み込むBBC
 英BBCは7日、ウェブサイトに「なぜ日本は児童ポルノ漫画を禁止していないのか」と題する記事を掲載。また8日にはラジオでの放送も行われる。漫画、アニメなどでの児童を含む露骨な性的表現について、日本国内ではどのように捉えられているかをまとめたものだ。

 記事のタイトルは、禁止に踏み切っていない日本を詰問したものではない。どのような議論を経て禁止しないという決定に至ったかを、日本の文化問題として掘り下げようと試みている。必然的にむしろ、記者(オーストラリア出身、ロンドン在住)が立脚する文化との違いが浮かび上がる。

◆願望を隠さないことに衝撃
 記者は、日本で行われている同人誌即売会(「サンシャインクリエイション」)を取材している。そこで記者は、ローティーンもしくはそれ以下に見える少女が、露骨な性行為を行っている同人誌を見る。イギリス、オーストラリア、カナダでは、これらの創作物も、実在する児童のポルノと法的に同等と見なされ、禁じられている(BBCラジオの番組解説)。しかし日本では大した問題ではない、と記者は語る。

 イベント運営側の男性は「児童虐待(児童との性行為)が良くないことだとは、誰でも知っています」「しかしそのような感情を持つことは自由ですし、児童とのなんらかの性的なシチュエーションを想像して楽しむことは、禁止されていません」と記者に語っている。

 彼の率直な物言いに、記者は仰天したという。さらに、彼は“ロリ漫画”より“女子高生もの”が好みだと言ったが、初対面でそういった趣味について話したことも、記者にとっては驚きだったようだ。記者は、ティーンを性的対象とする題材は、相当に一般的で、市民権を得ている、と結論している。

◆ファンタジーと現実の境界は明確か?と疑問
 漫画、アニメの規制反対派は、実在の児童が登場せず、誰も被害を受けていない、単に害のないファンタジーを楽しんでいるだけだと主張している。それに対して、記者は、「ファンタジーと現実の境界は、いつでも明確なのだろうか」との疑問を提示し、論を進める。

 批判派は、漫画によって誰も害を受けないとしても、それが児童への性的虐待を普通のことにし、助長し、危険を増大させることにもなるかもしれない、との懸念を抱いているという。記者は、この懸念について、研究の結論は出ておらず、これが事実かどうかは誰にもわからない、と述べている。

 しかし、多くの日本人、特に女性が、こういった漫画、アニメに、度を越えたポルノ、児童の性的対象化に対して見て見ぬふりをする社会の表れを見ているという。そこから記事では、漫画、アニメについてと、実在児童の問題が混在して語られていく。

◆海外の反応:誰も傷つけないのでは
 この記事に関して、ソーシャルニュースサイト『レディット』では、規制反対派の意見が多数を占めた。

・実在の人間じゃないし、誰も傷つけないのだから、(批判派は)モラルの警察として振る舞いたがっているだけだ。

・小児性愛者がロリ漫画を衝動のはけ口と感じているなら、実在の子供のポルノを探したり、あまつさえ子供を襲ったりするより、はるかによいことでは? 誰も傷つかない方法だ。

・(禁止すべきだというなら)同じようなことが、『ロリータ』のような小説についても言えるな。この作品はイギリスでもまったくOKだ。

◆日本の反応:2次元と3次元の混同に違和感
 Twitter上の日本ユーザーの意見では、記事に同意するものもいくつかあったが、「2次元と3次元(ファンタジーと現実)」を分離して考えることのできない視点への違和感が多数見られた。

・なんで海外のこの手の記事って物凄く安易に三次元ポルノの話をそのまま二次元ポルノへと接続していくのかがすごい疑問なんだけど。

・日本とペドフィリアの問題について。実際の(児童)性犯罪件数には触れずにフェミニズムの文脈で読むという典型的な海外の言説

・むしろなんのために規制すんの?合理性が全くないでしょ

(2020年東京オリンピック開催までに、その種の漫画・アニメを禁止にさせたいという活動家の発言に対して)
・オリンピックとオタク文化まぁとどちらかを選ばなければならないとしたら、私の答えは決まっているけどね。

Text by NewSphere 編集部