トヨタ、“バラ色”の純利益2兆円 円安だけではない要因に、米紙注目
トヨタは、2015年3月期連結決算の通期予想を上方修正し、営業利益2兆5000億円、純利益2兆円という見通しを発表した。海外紙が、トヨタの稼ぐ力に注目している。
◆日本初の偉業なるか?
トヨタの7-9月期の純利益は前年比23%増の5390億円。ライバルのフォルクスワーゲンAGとゼネラルモーターズを上回り、トヨタがまた「ブロックバスター四半期」に入ったとウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は報じている。
ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)も、7-9月期の収益アップを受けて、トヨタが「よりバラ色」の年間見通しを立てたと表現。修正された利益見通しは以前より12%高いが、このターゲットを達成すれば、単年で2兆円の純利益を上げる初の日本企業となると説明している。NYTによれば、トヨタは控えめな予想をすることで知られており、いつも結果は予想を上回るため、可能性はかなり高そうだ。
◆円安の恩恵
海外各紙は、トヨタ好調の理由の一つに、円安があると指摘する。NYTは、日銀が札を刷りまくって経済を刺激しようとしてきたことで、ドルに対し円は30%以上下落。トヨタはその最大の恩恵を受けてきたと述べる。
そして10月31日の日銀の追加緩和で円はさらに下落。11月5日時点で1ドル114円台と、円は2007年12月以来の最安値のレベルにある。トヨタでは、1円円安になると、年間営業利益が400億円上昇するという。同社は予測レートを1ドル105円としており、実際のレートがそれより9円安いという現在の状況が続き、他の条件が同じであれば、今年度は残りの6か月間に1800億円の営業利益が追加で発生するとWSJは述べる。
アドバンスト・リサーチ・ジャパンのアナリスト、遠藤巧治氏も、トヨタは「コスト削減に取り組んできたし、為替と販売台数の予測も控えめに見える」とし、今の傾向が続けば、トヨタの実際の純利益は2兆4000億円に近づくと見ている(NYT)。
◆国内回帰は難しい
WSJは、数年前に、自動車各社の海外への製造移転が加速するなか、トヨタの豊田章男社長が、日本で最低300万台は生産すると言い張ったことを、多くのアナリストが批判したと指摘。しかし、現在40%の車両を日本で製造し、その半分強を輸出するトヨタに、円安で予想外のご褒美がもたらされたと述べている。
「円安は確かに影響したが、修正はコスト削減とセールスの改善によるもの」と言うトヨタの小平副社長は、円安でも、今すぐ輸出を増やす、または日本に生産をシフトする計画はないとし、「自動車産業の構造を考えれば、企業が生産構造をその時の為替レートによって変えると考えることは難しい」と述べる(WSJ)。
トヨタの役員である佐々木卓夫氏は、エンジンやハイブリッド・ユニット等の構成部品の輸出は、現地生産用に増やしていくとしている(WSJ)。
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