「2020年までに日中間で戦争」中国人の半数が予想 日中の感情悪化を欧米メディア懸念
9日、「第10回日中共同世論調査」の結果が発表になった。調査では、中国に悪印象を持つと答えた日本人の数が、93%と過去10年間で最悪となった。
欧米のメディアもこの調査について報じている。
【中国人の過半数が日本との戦争を予想】
フィナンシャル・タイムズ紙とタイム誌は、日中の軍事衝突の可能性を予想する数字が高いことを懸念している。
調査に応じた中国人のうち53%、日本人の29%が、2020年までに日中間で戦争が起きるのではと予想している。また38%の日本人が、戦争は避けられると答えたが、2013年からすると9ポイント減った。
【「国際ルールを守らない中国」という印象】
日中間では、日本による尖閣諸島の国有化、中国の防空識別圏(ADIZ)設定など、相互に感情を害する出来事が続いている。5月と6月には尖閣諸島の北の海域で、中国軍の戦闘機と自衛隊機が危険な距離まで異常接近した。
共同通信によると、10日、中国公安辺防海警部隊の船が、尖閣諸島周辺の日本海域に侵入した。今年22回目だ。しかし昨年同時期の54回よりは少ない。フィナンシャル・タイムズ紙では、中国が同じく領有権を巡り対立しているフィリピンやベトナム沖の海へ重点を移しているためではないかとの専門家の見方を伝えている。
しかし他国に対するこのような動きもまた、日本人の中国に対するイメージを悪化させているようだ。良い感情を持たない理由として最も大きかったのが、「国際的なルールと異なる行動をする」の55.1%だった。
【なぜ日中は対立するのか】
フィナンシャル・タイムズ紙では、テンプル大学のジェフ・キングストン教授が、日本人の持つ中国への悪感情の要因を説明している。キングストン氏によると、日本のタブロイド紙などが、中国が「戦争を挑発する行為」をしていると書き立て、既に日本国民の中にあった中国に対する敵対的な感情を煽っているという。また、政府も中国の脅威を主張し、不安を拡大させている、と批判している。
約1年前には、安倍晋三首相と習近平国家主席との初の首脳会談に向けて前準備が進められていた。しかし、安倍首相の靖国参拝で関係が急激に悪化。批評家は、日中関係の悪化について、首相は靖国参拝で関係改善の努力を損なったし、頑固な超国家主義者だとの印象があるためだ、としている(フィナンシャル・タイムズ紙)。
タイム誌は、国同士の非難の応酬は幾分か減ったが、国民間の反感には依然根深いものがある、と報じている。ウォールストリート・ジャーナル紙は、日中間の相手に対する悪感情は依然強いとしながらも、約80%の日本人、70%の中国人が関係改善を望んでいると数字を挙げた。
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