アベノミクス相場に追い風? GPIF、日本株を20%に引き上げか 株式市場への影響に海外注目

 7日午後、複数の政府・与党関係者への取材結果として、ロイターが報じたところによると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革は、焦点となっている日本株への配分を20%超に増やすことを想定し、9月末にかけ調整を本格化させる見通しであるという。

 安倍内閣による成長戦略の目玉の一つであるGPIF改革だが、「デフレからの脱却を見据え世界最大の年金運用は『脱国債』に向けて動きだす」とロイターは述べる。

 これを受けて、東京株式相場は6営業日ぶりに反発、7日のTOPIXの終値は前日比6.83ポイント(0.6%)高の1258.12だった。

【改革案】
 GPIFの運用額は約126兆円にのぼり、世界最大規模だ。

 改革ではGPIFが資産構成を、国債40%(現在60%)、日本株20%(同12%)とすることを想定している。海外メディアは、同様に、外国株への配分も厚くする方向だろうという。

 ブルームバーグはGPIFの米沢康博委員長に対して先月行ったインタビューを紹介している。米沢委員長は、新たな資産構成は「まだ何も決まっていない」とした上で、見直し結果は「秋までに公表できる見通しだ」と話したという。

 公的年金を使って株価を支えようとするのは、1990年代から自民党政権が繰り返してきた失敗であるとの批判もあるが、GPIFの資産構成の変化が日本株への投資に与える影響は直ちには明らかでない、とロイターは述べる。

【他の年金も追随】
 ブルームバーグは、GPIFによる資産構成比率の見直しには、公務員や大学関係者らが加入する約51兆円の共済年金が追随し、国内株式市場へのインパクトはより大きなものになるとの市場関係者の見方を伝えている。

 51兆円の内訳だが、国家公務員共済組合連合会(KKR)と地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の主要3共済の運用資産が3月末時点で合計約30.4兆円。このほか、地方自治体の共済年金が合計で約21兆円だという。

 公的・準公的資金の運用・リスク管理を見直す政府の有識者会議で座長を務めた伊藤隆敏政策研究大学院大学教授は、GPIFが資産構成の見直しを今秋に前倒しするため、3共済と共同で策定するモデルポートフォリオは有名無実化すると予想。GPIFの新資産構成が「事実上のモデルポートフォリオにもなる」とし、3共済は時間と労力を考慮すれば「GPIFを見習うしかない」とみる。

 ブルームバーグによると、アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最高投資責任者は、GPIFに他の年金も追随することで、相応の「インパクトはある」と分析。需給的には下がったら買う作戦とみられるため、相場を支える形になると語ったという。

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Text by NewSphere 編集部