“強硬”朴大統領に韓国識者が苦言 舛添都知事会談も、関係改善の兆し見えず
韓国を訪問中の舛添要一東京都知事は、25日午前、ソウルの大統領府で朴槿恵大統領と会談した。朴大統領が日本の要人と個別に会談するのは、昨年2月の大統領就任直後、福田康夫元首相らに会って以来17ヶ月ぶりである。
舛添知事が、日韓関係の改善を図りたいとする安倍晋三首相のメッセージを伝えたのに対し、朴大統領は「歴史認識をきちんとすることが、親善の第一歩」と主張するなど、従来の立場を繰り返した、と読売新聞など国内メディアは伝えている。
【正しい歴史認識を】
日韓関係は、従軍慰安婦問題を始めとした歴史問題のため、ここ数年緊張状態にある。安倍首相による靖国神社参拝や、従軍慰安婦の強制性を認めた、いわゆる河野談話の信頼性を検証するとの日本政府の発表のため、両国関係は冷え切っている、とコリア・タイムズは指摘している。
会談中、朴大統領は「従軍慰安婦問題は両国間だけの問題ではなく、普遍的な人権問題。誠実な努力で解決されることを望む」と述べたという。
聯合ニュースは、従軍慰安婦の犠牲者の大半は80歳以上で、緊急に解決しなければ、慰謝料や謝罪を受ける前に死亡する可能性がある、と指摘している。
一方、日本政府としては、従軍慰安婦問題は解決済みとする立場に変化はなく、今回の会談が日韓関係改善の契機になったとは言い難い。
【前提条件をつけるのは得策ではない】
日本による謝罪なくして、日韓の直接会談はあり得ないとする朴内閣に対し、もっと柔軟な態度を取る必要がある、と指摘する韓国の外交専門家の声もある。
コリア・タイムズによると、Lee Won-deog国民大学校教授は「韓国は日本と、経済問題、安全問題、文化、歴史問題において密接に関係しており、平衡のとれた仕方で対処するべきである」と述べた。「日本のゆがんだ歴史認識に対して警告するのはいいが、柔軟かつ戦略的な方法で対処するべきで、前提条件をつけるのは得策ではない」としている。
【日韓関係改善に向けて】
朴大統領が舛添知事と会談した2日前の23日、日韓両国はソウルで外務省局長級協議を約2ヶ月ぶりに再会するなど、関係改善に向けて動き出している。来月ミャンマーで開催されるASEAN地域フォーラムにおいて両国の外相が会談する可能性も話し合われる見込みである、とウェブ誌ディプロマットは報じている。