エリゼ宮の歴史を体験 博物館&カフェ「メゾン・ド・レリゼ」誕生 パリ新スポット

ドゴール元大統領の机とマクロン大統領|Stephanie Lecocq / Pool via AP

 オリンピック開催にあわせ、パリに注目すべき新スポットが誕生した。その名も「メゾン・ド・レリゼ(エリゼの館)」。エリゼ宮は、フランス大統領府が置かれる建物の名前で、大統領府の別称でもある。この名からわかるように、運営するのは大統領府だ。

◆エリゼ宮を訪れているような気分に
 エリゼ宮のすぐ向かい、フォーブール・サントノレ通り88番地にマクロン仏大統領夫妻立ち合いのもと24日オープンした「メゾン・ド・レリゼ」は、一言で言えば、一種の博物館兼カフェ兼ブティック。そのテーマは、ドゴール将軍以来のフランス第五共和政におけるエリゼ宮だ。

 警備につくのは、フランス共和国親衛隊。軍隊や警官と比べ華やかなユニフォームを特徴とする。

 室内は、天井まで6メートルの高さで、エリゼ宮の玄関ホールに飾られていたシャンデリアが吊るされている。ベルフォールの職人による錬鉄を用いた欄干に、石の階段、RF(フランス共和国のロゴ)と記された鏡など、まるでエリゼ宮にいるような錯覚を呼び起こす内装だ。(フランス・アンフォ、7/25)

◆大統領執務室の再現
 総面積600平方メートルの半分以上は展示スペースに割かれる。そのなかでも目玉となるのは、フランス大統領府にあるサロン・ドレ(黄金のサロン)と呼ばれる大統領の執務室を再現した一室だ。壁の金箔やタピストリーまで見事に再現されたこの部屋には、ドゴール将軍も用いた執務机が置かれている。(ル・パリジアン紙、7/24)

 この机は、18世紀の偉大な装飾家具職人であるシャルル・クレサンの手によるもので、ドゴール将軍のあと、ジスカールデスタン大統領、オランド大統領、また第一期就任期間のマクロン大統領らが愛用したものだ。このクレサン机が展示されるのは最初の半年で、その後は別の机が置かれる予定だ。(ル・フィガロ紙、7/24)

 そのほか、ポンピドゥー大統領の長椅子や、公式な国家晩餐会で用いられた食器、また外国国家元首からの贈り物も展示される。そのなかには、2021年の東京オリンピック開催時に日本から贈られた、漫画『ONE PIECE(ワンピース)』作者の尾田栄一郎氏の原画も含まれる。(フランス・アンフォ)

◆エリゼ宮の中庭を見下ろすカフェ
 2階には約40席のカフェがあり、門が開いているときは、窓からエリゼ宮の中庭も眺めることができる。このカフェは、三ツ星シェフとして有名なアラン・デュカスのデザインだ。供されるケーキは、大統領シェフのファブリス・デヴィーニュと、ルン・イー・シン・パティシエ長が考案したもので、それぞれ形や素材にエリゼ宮を思い起こさせる要素を秘めている。(ル・フィガロ紙)

◆メイド・イン・フランスが揃うブティック
 1階のブティックには、リモージュの食器やカトラリー、マルセイユ石鹸、ワイングラス、ろうそくなどが並ぶ。いずれもメイド・イン・フランスにこだわった品ばかりだ。変わったところでは、南フランスの競技であるペタンク用の鉄球セットも売られている。

 メゾン・ド・レリゼの一般公開が始まるのは7月30日からで、入館は無料。オリンピック期間中は自由に出入りできるが、9月からは予約が必要となる予定。

Text by 冠ゆき