世紀を超えた恩返し? 杉原千畝「命のビザ」で救われた大物事業家、日本で新規ビジネス
先日来日したシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)名誉会長のレオ・メラメド氏が、故・杉原千畝元外交官の人道的行為に敬意を表する活動に参加する。また滞在中、安倍首相やケネディー駐日米国大使、福井県・敦賀市長、早稲田大学(杉原氏は同大学OB)などを表敬訪問する予定だ。
杉原千畝氏は、第二次世界大戦中当時、ナチス・ドイツから迫害を受けていたユダヤ人約6000人に、国の意向に反して「命のビザ(通過ビザ)」を大量発給し、多くのユダヤ人を救った。その際に救われた一人であるメラメド氏は九死に一生を得る。
この杉原氏の勇気ある行動に、世界最大級のデリバティブ取引所であるCMEグル―プ創設の礎を築いた「先物の父」メラメド氏が称えていることをニューヨーク・タイムズ紙やロイターは大きく取り上げている。
【敦賀港は「人道の港」】
メラメド氏にとって敦賀港(敦賀市)は、自由への第一歩を踏み出した「思い出の場所」。杉原氏が発給した「命のビザ」を手にした数千人のユダヤ人難民が日本へ上陸した唯一の港であり「人道の港」と呼ばれている。
着の身着のままで逃れてきたユダヤ人難民は、シベリア鉄道で日本へ向かう途中、ソ連の秘密警察から貴金属や金目のものを奪われ日本に着いた時には、所持金や金目のものはほとんど持っていなかったという状況だったようだ。
それを見かねた敦賀市民は、ユダヤ難民に対して温かく迎え入れた。そのエピソードは敦賀ムゼウムで紹介されている。メラメド氏は3日、敦賀市長を表敬訪問する予定だ。
【日本の闇市で経済の基礎を学ぶ?】
ニューヨーク・タイムズ紙はメラメド氏が7歳にとき、日本のブラックマーケット(闇市)でエコノミクスの“基礎レッスン”を学んだと、報じている。
当時7歳だったメラメド氏は、難民が闇市で外貨をどのように取引しているのか見ていると、なんと米ドルが表示価格の4倍で売ることができた、と当時の状況を語り、「闇レートは、単に米ドルがいくらの価値があったという事実だった」とインタビューに応えている。さらに、通貨と市場に関して考えを起こすことはなかったが、「ある程度の影響は受けたかもしれない」と述べている。
【メラメド氏の「恩返し」で日本のエネルギー価格を大きく変えると期待】
メラメド氏は、日本の液化天然ガス(LNG)のデリバティブ市場創設を支援すると、日経新聞のインタビューで明らかにしている。
メラメド氏は杉原氏に関することなら、「頼まれれば何でもします。未だかつてノーと言っていません」と当時の杉原氏の恩を未だに強く感じているコメントで結んでいる。今回のメラメド氏の支援も杉原氏への恩返しかもしれない。
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