TOTO上海工場で大規模スト 労働者意識向上の証? 中国の労働争議は増加傾向

 衛生陶器大手TOTOの子会社、東陶華東有限公司の上海工場で、6日から9日まで、大規模ストが行われた。ブルームバーグによるとTOTOは参加人数を明かすことを拒んでいるが、共同通信は約1000人と報じている。防犯カメラが破壊されたほか、社旗および日本国旗が降ろされる事態となった。経営側は要求を呑み、操業が再開されることとなった。

【食い違う言い分】
 労働者側の要求は、賃下げにつながる賃金体系改正の撤回と、日本人工場長の更迭であった。それに対し会社側は、賃上げを意図した改正であったにも関わらず、逆の噂が流れてストにつながったと主張している。しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は「給与を増やし、既存の賃金構造を維持」することで合意したと報じており、新体系は賃上げにはならないという見方のようだ。

 工場長に対しどのような不満があったのかは報じられていない。新工場長についてTOTOは、中国出身だが日本国籍を持つと述べているという。

【もめる原因はナショナリズムか経済成熟か】
 『XINHUA.JP』(新華社とは無関係)は、中国ネットユーザーの反応を報じた。TOTOが日本企業だとは知らなかったというコメントも多く、また日本企業だと判ったからにはTOTO側に批判が集まるという流れのようだ。それには単なる反日感情的意見のほか、外資企業の儲けが中国側に還元されていないという不満も含まれる。ただ、「無秩序な動きは最終的に自分(中国)を傷つける」と自制を促す意見もある。

 ウォール紙も、尖閣問題などでの日中対立に言及しつつ、日本企業に限らず、中国でこうした労働争議が全体的に増加中だと報じている。今年第1四半期の労働争議数は202で前年同期比31%増、「経済が減速し企業はコスト削減圧力に直面して、また労働者が自分たちの権利をより意識するようになるに伴って」のことだという。

 ブルームバーグも、今年すでにIBM、ウォルマート、靴メーカーの裕元工業などでストが発生していると報じた。専門家によるとこれは経済発展に伴う市民成熟の結果であり、「以前は生活の中で特定の領域に不公平があっても、労働者は我慢して文句を言いませんでした。今は違います」とのことだ。

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Text by NewSphere 編集部