慰安婦問題、解決には“20年以上かかる”と識者語る 日韓協議で主張は平行線、協議の定例開催合意のみ
冷え切った日韓関係を改善するための日米韓3国首脳会談をお膳立てしたアメリカのオバマ大統領の日韓訪問が来週に迫ってきた。
16日、日韓両国政府は、従軍慰安婦問題に関する外務省局長協議をソウルで実施した。協議には、日本からは伊原アジア大洋州局長が、韓国側からは李外交部北東アジア局長が出席した。
日本側は1965年の日韓請求権協定に基づき「解決済み」との立場を説明、韓国側は日本が慰安婦に対する犯罪を認め法的責任をとるよう求めた。すなわち、双方ともが従来の主張を展開し収穫はなかった。協議自体は月1回、事実上定例化することで合意したという。
【被害者が生きている間に】
CNNは、過去22年間にわたって、韓国の元慰安婦たちのグループが週に1度、ソウルにある日本大使館前にテントを張って、モンスーン気候の夏の暑さと湿気にも、氷点下になる過酷な冬の寒さにも耐えて集会を行ってきたのは、日本政府による謝罪が欲しかったからだと報じている。
韓国の朝鮮日報は、次のように述べる。
「今や被害女性の苦しみや無念さを晴らすのに、それほど多くの時間が残っているわけではない。もしかすると今回の協議は、実際の被害者が生きている間に問題を解決できる最後の機会になるかもしれない。日本の良識と勇気ある決断に心から期待したい」
【日本が譲歩?】
外交ニュースサイト『ディプロマット』は、本件に関する日韓両国のメディアによる反応はいささかおとなしいが、安倍政権誕生以来、日本が外交的に孤立してきただけに、今回協議が持たれたのは重要な進展であり、日本が慰安婦問題は「解決済み」との立場から譲歩する兆候だろうと見る。
韓国の中央日報も、「日本政府が韓国側に、軍の慰安婦問題を今年中に妥結させようという立場を提案した」との日本の共同通信の報道を紹介している。
共同通信によると「2月中旬、日本政府の当局者が韓国側に『韓日国交正常化50周年である2015年になる前に、軍の慰安婦問題について結論を出して韓日関係を本来の軌道に戻したい』として協力を要請し、韓国側も理解を示した」という。
【世代交代が必要】
これに対して、本件の解決にはさらなる時間と世代交代が必要だという見方もある。CNNによれば静岡県立大学の伊豆見元教授(国際政治学)は「これはそんなに古い問題でない」と語る。
「この問題が本当に注目されてきたのはつい90年代になってからであり、日本と韓国ではこの問題に対する見方が全く違う。認識にこれほども差があっては合意に至る筈がない。解決に20年はかかるだろう」
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