安倍首相のゴルフは、危機管理の1つ? 鳥インフル事件受け、一部米紙が暗に批判
熊本県多良木町の養鶏場で、13日までに約1100羽が死亡したことを受け、熊本県は遺伝子検査を行い、2羽から高病原性のH5型鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表。14日までに、同養鶏場と、経営者が同じ同県相良村の2養鶏場の鶏11万2000羽の殺処分を終えた。
菅義偉官房長官は13日午前、山梨県でゴルフをしていた安倍首相抜きで、緊急の関係閣僚会議を開催した。
農林水産省は、同県の鶏約40万羽の出荷を制限。感染ルートを調べ、さらなる感染がなければ、5月初めに制限を撤廃する考えだという。
林芳正農林水産大臣は「病気のまん延防止には何よりも初動対応が重要」と述べ、関係省庁や熊本県と連携し、しっかりとした対応をとるとした。
日本で鳥インフルエンザが見つかったのは3年ぶり。2010年11月から2011年3月にかけ、全国9県24農場で計183万羽が殺処分された。
【WSJ紙は安倍首相のゴルフを暗に批判】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、こうした事態の中、なぜ安倍首相はゴルフを続けたのか、と報じている。
これに対し菅氏は、「(H5型が人に感染しないことを考えると)全く問題ない」「無用な不安を与えないようにすることも危機管理の一つだ」とコメント。また、ヒッチンズ駐日英大使とゴルフをしていたこととの関係性を聞かれ、「外交的配慮ではない」とした。
日本の大手紙は、民主党など野党が批判姿勢であることを報じているが、ことさら問題追求する構えは見せていない。
一方ウォール紙は、2001年に森首相(当時)が、米原子力潜水艦と水産高校の実習船「えひめ丸」が衝突したと報告を受けた後もゴルフを続けた事例に言及。森氏は厳しい批判を受けて支持率が10%以下に低迷し、2ヶ月後に退任したことを報じた。
【アジアにおける鳥インフル発生後の影響】
韓国では1月にH5N8型鳥インフルエンザが発生。同国の農林畜産食品部は2月、鶏肉の需要が70%も激減したと発表した。
また国際連合食糧農業機関は2月5日の報告書で、「中国の広西チワン族自治区の生鳥市場の家きんに広がっているH7N9ウイルスが中国に隣接する国々に徐々に広がるリスクはかなり増大し、ヒトの健康影響リスクを増大させている」と注意喚起している。
ただ、H5N8型や、中国で人が死亡したH7N9型が人に感染した例は韓国で報告されていないとブルームバーグは報じた。
英デイリー・メール紙は、鳥インフルは通常、人から人へ感染しないが、人が感染すると即深刻になると報じた。世界保健機関の数字によると、H5N1型と確認された人の約半分は死に至るという。
英国民保健サービスのサイトによると、ウイルスは感染した鳥のフンや分泌物などに直接触れることで広がるという。ウイルスは加熱すれば死滅し、調理された食品からは感染しないが、養鶏場関係者の全員に感染のリスクがあると、同紙は警告した。
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