バイデン弾劾狙う共和党の情報提供者、偽証罪で起訴 ロシアのスパイ疑惑も
アメリカでは民主党所属の大統領の在任中、共和党が下院で多数派になると、大統領の「スキャンダル」を調査する共和党主導の特別委員会が組成されるのがお決まりになっている。クリントン大統領在任時はそれが不倫やホワイトウォーター土地開発・不正融資疑惑で、オバマ大統領在任時は駐リビア米大使館が襲撃された「ベンガジ事件」だった。
そしてバイデン大統領在任中の今、共和党はバイデン大統領が副大統領時代に、次男のハンター・バイデン氏とともに「ウクライナ企業ブリスマや中国から不正に資金を受領していた」という主張の調査を行っている。しかし最近になって事態は思わぬ方向への進展を見せた。共和党が証言者としていた人物2人のうち1人は国際犯罪の容疑で逮捕後逃亡して国際手配中、もう1人はロシアの情報機関とつながりがある可能性が判明した。
◆証言者の1人は中国やイランとつながり
ブリスマに関しては、トランプ前大統領在任中の2019年、兵器供与と引き換えに、バイデン氏が選挙で不利になる情報を得ようとウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけた事件が、トランプ氏の1回目の弾劾につながった経緯がある。その後2022年に共和党が下院の過半数を獲得後、下院監視・説明責任委員会のジェームズ・コマー委員長などが、バイデン父子のウクライナや中国からの不正資金受領に関する調査を本格的に開始。しかし確固たる証拠はなく、前述の証人による証言に頼っている状態だった。
共和党側の証言者の1人で、「バイデン親子が中国の情報局に関連する人物から資金を受け取っていた」と主張したガル・ルフトという男性は、イスラエル生まれでアメリカ国籍を持っており、東部メリーランド州のシンクタンクでディレクターとして働いていた。その人物が、中国企業の武器販売やイランの石油販売に違法に関わっていたことで指名手配されたのである。昨年2月、国外逃亡先で拘束されたルフト容疑者は、保釈金を支払うと再び逃亡。現在は国際指名手配中という。
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