LINE 自作スタンプ販売は世界展開の要 海外音楽業界が注目するポイントとは?

 国内で高いシェアを誇る、無料通話・メールアプリLINE。海外でもユーザーを増やしており、運営するLINE株式会社によれば、昨年1月、全世界で1億人だった登録ユーザー数は、現在、3億7000万人を超えているという。さらなる成長を期し、26日、同社は3つの新サービスを発表した。

【3つの新サービス】
 LINEの新サービス発表会「LINE Showcase 2014 Feb.」が、26日開催された。そこで公開された新サービスは、次のようなものだった。

“LINE電話”
 国内、国外を問わず、一般の固定・携帯電話と、低料金で通話可能。

“LINEビジネスコネクト”
 企業の公式アカウント機能のカスタマイズ。顧客に応じたメッセージ配信やサービス提供が可能になる。

“LINE Creators Market”
 プロ・アマ、個人・企業を問わず、ユーザーが自作したスタンプを販売可能。ただし審査あり。

【自作スタンプを1組40個、100円で販売可能】
 “LINE電話”は、Facebook MessengerやViberがすでに提供している機能とそっくり同じで、革新的とは言えない、とテクノロジーニュースサイト「PCマガジン」は述べる。そして記事では、“LINE Creators Market”を詳しく取り上げている。

 スタンプの販売を望む“クリエイター”は、スタンプ40個分と表紙など計42枚のイラスト画像をアップロードする。それらはLINEの審査を経た後、1組100円で販売される。そのうち、50%がクリエイターの取り分となり、銀行口座に振り込まれるとのことだ。いわゆる“版権もの”、二次創作物は、認められないと報じられている。

 単価の低さから、「PCマガジン」は、「もしも、ちょっとしたお小遣い以上のものを求めているとしたら、がっかりするかも」と述べているが、LINEのユーザー数を考えれば、クリエイターは、もう少し夢を見て良いかもしれない。

【世界各国にスタンプを使ったコミュニケーションは広がるか】
 サービス開始は4月の予定だが、制作、販売までの手順や、審査基準は、すでに専用サイトで公開されている。日本語だけでなく、英語ページも用意されている。

 感情を豊かに表現したり、コミュニケーションにアクセントを添えるスタンプは、国内でLINEが人気を集める原動力ともなった。公式スタンプの数は1万を超え、有料で販売されるスタンプの売上額は、昨年のLINEの売上額343億円のうち、約20%に及んだ。

 今回、LINEが一般ユーザーにスタンプの制作・販売を解禁した背景には、海外においても、スタンプを活用したコミュニケーションを活発にしたい、という意図がある。これまでにも、各国でローカルスタンプを作り、浸透を図る試みは行われてきたが、それをさらに加速するために、各国ユーザーの力を借りようというのだ。「LINEの世界展開においても、スタンプのローカライズが加速することを期待しています」と同社は述べる。

 これが成功すれば、他のメールアプリとの差別化となり、ユーザー獲得に貢献するほか、スタンプ文化が広がり、スタンプの販売数が増えることで、同社の収益にも大きく貢献するだろう。

【広告手段としてのスタンプ】
 スタンプは、LINEにおける広告・宣伝の手段としても、有効なものだ。企業が配布する公式アカウント・スポンサードスタンプの中には、非常な人気を集めるものがある。

 その鮮やかな例が、ポール・マッカートニーだ。音楽業界ニュースサイト「ハイプボット」が記事にしている。昨年10月、アルバムのプロモーションのため、LINEに公式アカウントが開設された。このアカウントを「友だち」に追加した人には、ポール・マッカートニーをイラスト化した8種類のスタンプが無料配布された。これにより、日本語アカウントには90万人近く、英語アカウントには325万人のフォロワーを得た、と記事は伝えている。

 では、“LINE Creators Market”で、自作スタンプを使って、宣伝をすることは可能だろうか。残念ながら、宣伝利用は不可能だと、ガイドラインで明記されている。「けれども、あなたのバンドの真のスピリットを表す見事なアートを使って、ステルス・キャンペーンは行うことができるだろう、その絵は疑いなく世界中に広がり、メールの世界を支配するだろう。さあ、見せてくれ!」と記事は結ぶ。

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Text by NewSphere 編集部