陰謀論者ケネディ氏出馬でトランプ氏不利に? 混迷の2024年米大統領選

ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(10月9日)|Matt Rourke / AP Photo

 2024年の米大統領選までおよそ1年となった。2020年に続き今回も、ジョー・バイデン氏と(今後逮捕などがなければ)ドナルド・トランプ氏の一騎打ちになると思われていた。しかしそこに伏兵が参戦することになりそうだ。故ロバート・F・ケネディ元司法長官の息子で、ジョン・F・ケネディ元大統領のおいにあたる、ケネディ家直系子孫のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(69)である。

◆保守メディアで陰謀論を展開
 CNNによると、以前は民主党からの大統領選出馬を試みていたケネディ氏だが、バイデン大統領の再出馬がほぼ決定事項となっているため、10月9日に正式に無所属として出馬を宣言。ケネディ氏は「バイデン大統領とトランプ氏の両方から票を奪って勝利する」と話しているという。

 ケネディ一家といえば、ケネディ元大統領やケネディ元司法長官のように本流の民主党一族ではあるが、環境弁護士であるロバート・ケネディ・ジュニア氏は本流からはかなり外れた異端的存在だ。伯父や父親と同じく民主党からの出馬を狙っていたとはいえ、同氏は保守派に信奉者が多い、いわゆる「陰謀論者」で、特に反ワクチン運動家であることで有名な人物だ。

 ケネディ氏は現在さまざまなメディアでインタビューを受けて持論を展開中である。米公共ラジオ(NPR)によると、アメリカで最も人気のあるポッドキャスターであるジョー・ローガン氏の番組では、Wi-Fiががんと「Leaky Brain(脳漏れ)」の原因となると発言。また、起業家イーロン・マスク氏とのインタビューでは「抗うつ剤が銃乱射事件の原因」と話し、またカナダ人の保守派精神科医とのインタビューでは「水資源中の化学物質が子供をトランスジェンダーにする可能性がある」と述べている。

Text by 川島 実佳