世界の4人に1人が極度な水不足 50年までに10億人増加
世界的に慢性的な水不足が深刻化している。気候変動による干ばつ、人口増加や産業発展に伴う水の需要増、さらには開発による水源破壊などさまざまな要因が世界的な水不足に拍車をかけている。気候変動が及ぼす水源への影響を分析した最新の調査によると、世界規模で危機的な状況が拡大していることが明らかになった。
◆世界25ヶ国 極度の水不足
世界人口の4分の1が極度の水不足に毎年陥っていることが最新の調査でわかった。アメリカのNGO「世界資源研究所(WRI)」が16日に公表した「アクエダクト・ウォーター・リスク・アトラス」によると、世界人口の4分の1を占める25ヶ国が、毎年「極度の水ストレス」に直面しており、利用可能な水供給量のほぼすべてを定期的に使い果たしている。
WRIは、世界的な水文学モデルを用いて、河川や湖沼といった降水によって補給される再生可能な水源が、将来の気候変動シナリオの下でどのように変化するかを推測した。「極度の水ストレス」に直面している国は、利用可能な供給量の少なくとも80%を灌漑(かんがい)、家畜、産業、家庭用需要に使用していることを意味し、「高度の水ストレス」は供給量の40~80%を取り崩していることを意味する。
その分析によると、25ヶ国に含まれている国は、サウジアラビア、チリ、サンマリノ、ベルギー、ギリシャなどで、そのなかで最も深刻な5ヶ国は、バーレーン、キプロス、クウェート、レバノン、オマーンである。また、世界人口の少なくとも50%(約40億人)が、1年のうち少なくとも1ヶ月は高度の水ストレス下で生活している。短期的な干ばつでさえ、これらの国々では水不足の危機にさらされ、時には政府が水道水の供給を停止することもある。こうしたシナリオは、イギリス、インド、イラン、メキシコ、南アフリカなどですでに見られている。
水ストレスの増大は各国の経済成長を脅かし、食料生産にも影響を及ぼす。調査によれば、世界の灌漑農業の60%、特にサトウキビ、小麦、米、トウモロコシなどの農業が、極めて高い水ストレスに直面している。2050年までに100億人を養うためには、2010年比で56%多く食料カロリーを生産する必要がある。
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