“前から見れば普通” パカっと半分、張りぼてツリーが米で人気に! 日本でも流行る?

 アメリカの家庭のクリスマスツリーと言えば、様々な飾りやライトを美しくあしらった大きなものを想像するが、実際には狭い家に住む人々も多く、場所を取るツリーは悩みの種らしい。そんな人々のために、ツリーを縦半分に割ったハーフツリーが登場。前年を大きく上回るセールスを記録し、話題となっている。

◆ツリーに歴史あり。置く場所にも要注意
 農業関係者向けのサイト『Farm Forum』に記事を寄せた天然資源スペシャリスト、ナタリー・ユーラー氏によれば、アメリカのクリスマスツリーは、天然の木とプラスチック製などの人工ものが半々だという。もともと初期のアメリカでは、18世紀中ごろにドイツ移民が考案したガチョウの羽を緑に染めた人工ツリーが使用されており、19世紀に入ってから、天然の木を一般家庭で用いるようになったという。1930年代になって、瓶を洗浄するためのブラシを製造する会社が、ブラシの毛を使用したクリスマスツリーを開発し、これが全米に広がった。20世紀にはアルミ製のツリーなども使われたが、ここ40年ほどは、人工のものはプラスチック製が主流になっている。

 ユーラー氏は、ツリー選びのポイントは、天然、人工にかかわらず、高さと幅をしっかり測り、部屋に置けるサイズかどうか確認することだと述べる。テレビや暖炉、ラジエータなど熱を発するものの近くを避け、ドアからも遠ざけなければならないとしており、ツリーを置くには計画が大切だとしている。

◆半分で省スペース。住まいの小さな人に朗報
 そんな場所を選ぶクリスマスツリーだが、インテリア関係の情報サイト『House Beautiful』は、自宅が小さい人にとっては、クリスマスツリーの置き場を作るのは大変だと述べる。欧米ではクリスマスツリーの下に、家族へのプレゼントを並べて置く習慣があるが、ただでさえ小さな居間に大きなツリーを置きプレゼントを並べれば、クリスマスが来る前に足の踏み場がなくなってしまうというのだ。そんな人々に向けて売り出されたのが、普通のツリーをてっぺんから真下に向かってパカッと割ったハーフツリーだ。

 米ABCによれば、このツリーなら背面を壁に向ければよく、スペースが省けて集合住宅に住む人にも好都合とのことだ。2014年から販売しているWayfair社によれば、今年の売り上げは150%増となっているという。House Beautifulは、ハーフツリーは横から見ると異常に細い印象だが、正面から見ると普通のツリーと変わらないと述べる。米フォックス59のニュースサイトもハーフツリーを紹介し、誰も見ないツリーの後ろ側を飾りたくないという人々にも、うってつけの商品だと述べている。すでに日本の通販サイトなどでも出回っており、小さな家や単身者が多い日本でも、需要はありそうだ。

◆スリム化以外にも、変わるクリスマスツリー
 クリスマスはキリストの誕生を祝う伝統の祭日だが、ツリーの方は飾る人々の需要に合わせ、伝統にとらわれない進化を遂げているようだ。ハーフツリーの他に今年のトレンドとなったのはカラーツリーで、ホワイトに加え、ベイビーブルー、ホットピンク、オレンジなど、華やかな色のものがよく売れているらしい(ABC)。

 ちなみにWayfair社のサイトでは、半分をさらに半分にした、部屋のコーナーに置くタイプのクオーターツリーまで販売されており、こちらも人気上々のようだ。細くすること自体は結構だが、原型は留めてほしいと願うばかりだ。

Text by 山川 真智子