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トランプ氏の指名獲得にますます現実味…共和党本流同士の悪夢のバトル・ロイヤル始まる

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トランプ氏の指名獲得にますます現実味…共和党本流同士の悪夢のバトル・ロイヤル始まる

 9日に行われた米大統領選のニューハンプシャー州予備選で、共和党はドナルド・トランプ氏が圧勝した。「エスタブリッシュメント」と呼ばれる保守本流の候補たちは、横並びのまま低迷。誰も抜け出せない現状に、共和党エリートの間ではイライラが募っている。

◆第3位を賭けたエスタブリッシュメント候補の戦い
 ニューハンプシャーでの共和党エスタブリッシュメント候補の低迷を、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は「最悪の結果」と表現し、バーニー・サンダース氏が民主党で勝利したことも含め、「有権者はアメリカのエリートを拒んだ」と述べた。政治ジャーナリズムのサイト『Politico』は、「エスタブリッシュメントは奈落の底を見つめている」と述べ、トランプの大勝で乗る馬がなくなってしまったと述べる。

 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によれば、共和党指導部は、長期に渡り莫大な資金を使うことを避け、速やかに党候補者指名に決着をつけることを望んでいたという。ところが選挙戦で躍進したのは、ポピュリストのトランプ氏と保守強硬派のテッド・クルーズ氏で、比較的穏健かつ柔軟なエスタブリッシュメントとは相いれない候補者たちだった。

 エスタブリッシュメントとしては、両氏に歯止めをかけることができる候補が、ニューハンプシャーで抜け出してくれることを期待していたが、結果は1人に絞られるどころか、ジョン・ケーシック氏、マルコ・ルビオ氏、ジェブ・ブッシュ氏の3人が横並びで残り、トランプ氏とクルーズ氏を追う「第3の男」の座を賭けて、さらなる熾烈な戦いを続けることになってしまった、とワシントン・ポスト紙(WP)は指摘する。

◆追い上げるのは、ルビオかブッシュ
 ニューハンプシャー州予備選で、指導部が最も期待していたのはルビオ氏だった。同氏はアイオワ州党員集会で3位につけ、勢いに乗ってニューハンプシャーでトランプ氏に追いつくことも可能だと見られていた。ところが、予備選前の討論会でクリス・クリスティ氏(すでに撤退表明)から激しい攻撃を受けたルビオ氏は、覚えていたセリフを繰り返すだけという大失態を犯し、結局5位と低迷。「二度と同じ間違いは犯さない」と支持者に述べ、再度出直しを誓うことになった(WP)。もっともルビオ氏は潤沢な資金を持ち、有力政治家からも公認を受けているため(Politico)、持久力はありそうだ。

 3候補の中で健闘したのは柔軟さをアピールし2位となったオハイオ州知事のケーシック氏だ。しかし『Politico』は、これがより問題を複雑にすると指摘。次のサウスカロライナで勝ち目はないものの、同氏のアドバイザーたちは地盤のある中西部まで引っ張り、最終的に地元オハイオまで持ち込もうという作戦を主張しており、同氏の撤退がなければ、エスタブリッシュメント統一候補の出現はますます遅れてしまうと危惧する。一方FTによれば、ケーシック氏の資金はほぼ底を尽きかけており、戦績によっては早い撤退もありそうだ。

 以前は共和党本命候補とされていたブッシュ氏も、多額の宣伝費を使ったわりには、4位と、ニューハンプシャーではさえなかった。しかし、ブッシュ家というネームバリュー、潤沢な資金と強い支援団体があるため、同氏は前進するだろうとWPは述べる。『Politico』によれば、次のサウスカロライナでは、兄のジョージ・W・ブッシュ氏が応援に駆け付けることになっている。同州の共和党員で過去の選挙戦を知るテリー・ウォーカー氏は、在任中に同州での人気が高かった兄を巻き込むことで、弟ブッシュ氏の浮上が期待されると述べた(Politico)。

◆結局、喜ぶのは反主流?
 WPは、サウスカロライナまではブッシュ、ルビオ、ケーシックのバトル・ロイヤルになるとし、3月1日の南部州の予備選までは、エスタブリッシュメント統一候補の座をかけての戦いが続くと述べる。

 FTは、保守本流内の戦いが長引けば長引くほど、トランプ氏を利すると指摘。ブッシュ氏とルビオ氏が互いの攻撃のために宣伝費を使っても、トランプ氏の懐は痛まないし、統一候補が出てこなければ、指名争いはトランプ氏とクルーズ氏の二人に絞られ、これこそがまさにエスタブリッシュメントに消化不良を起こさせる結果だと述べる。

 NYTは、選挙戦が保守的な南部の州に移れば、さらにトランプ氏とクルーズ氏に有利になりそうだと指摘。共和党の元ニューハンプシャー州上院議員、ジャッド・グレッグ氏は、サウスカロライナ後に誰かが抜け出さなければ、党大会までに候補者指名が決まらないこともあり得ると述べ(NYT)、共和党の混乱が続くことを示唆した。

(山川真智子)

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