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「世界の工場」中国からベトナムへ 中国経済減速、TPPで加速か 米紙予想

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「世界の工場」中国からベトナムへ 中国経済減速、TPPで加速か 米紙予想

 中国国家統計局が19日に発表した統計によれば、中国の第3四半期(7-9月)の国内総生産(GDP)は、6.9%と2009年第1四半期以来の低水準となった。中国当局は、予想をわずかに上回ったことから楽観的な見方をしているが、海外メディアの多くは、中国経済減速の長期化は避けられないと見ているようだ。その中で、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、中国の後退とTPP施行により、今後ベトナムの経済発展が急加速すると予想する。衣料品などで「メイド・イン・ベトナム」が「メイド・イン・チャイナ」に取って代わる日も近いかもしれない。

◆公式発表を「完全には信じていない」と海外識者
 6.9%増という数字は、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想6.8%をわずかに上回ったが、第1・第2四半期の7%を下回った。また、2009年第1四半期以来の低い伸び率にとどまった。製造業と輸出、不動産業の不振が主なマイナス要因で、サービス業の成長加速や国内消費の拡大がそれらを補った形だ。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、「継続する都市化と、中産階級の増加により、内需は拡大している。ボックス・オフィス(=映画・コンサートなどのチケット販売)とオンラインショッピングの売上が、この数ヶ月で2桁の伸び率となっているのがその証拠だ」としている。

 中国政府は、今年の年間成長目標を7%前後に定めている。ブルームバーグは、「サービス部門が同国経済を下支えしており、金融・財政両面の刺激策が李克強首相の掲げる2015年の成長目標を達成可能にしていることが示された」と、楽観的だ。英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)も、「今回発表された数字は、成長目標を概ね達成するコースに乗っていることを示す」としている。中国国家統計局は先月、今期の成長率が6.5%以上であれば、目標の範囲内であるという見解を示していた。同局は、それを上回る6.9%という数字を受け、「国の経済全体のパフォーマンスは、安定しており、明るい方向に向かっている」などとするコメントを出した。

 しかし、海外識者の間では、中国当局の公式発表は、数字を「盛っている」という疑念が強い。FTは、7月の株価急落に対する当局の対応失敗や8月の予想外の人民元大幅切り下げなどにより、「中国の成長鈍化に関する不確定要素は、この数ヶ月間の世界の株式市場を揺るがした。投資家たちは、中国の経済データと政策決定プロセスの透明性に疑念を抱いている」と記す。英調査会社・キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミストも、「我々は(中国が発表する)データを完全に信じてはいない。その数値よりも、実際には経済がかなり弱まっているという証拠が数多くある」と、NYTに述べている。

◆不動産投資の低調が最大要因か
 ロイターは、今回の発表に対する識者コメントをまとめている。上海の証券会社のエコノミストは、中国経済を支える製造業が、「最も懸念される」と言う。ただし、今は輸出に頼った改革開放路線から内需重視への転換期であり、その影響を勘案すれば「中国経済は下押し圧力にさらされているものの、比較的安定している」という見方だ。一方、シンガポール・コメルツ銀行のエコノミストは、特に不動産業の回復が遅れていることなどから、今年の成長目標7%は達成できないと見ている。

「不動産投資の伸びの鈍化が低調なGDPの大きな要因」(中国招商証券エコノミスト)など、識者の間では、不動産部門の低調を懸念する声が最も多い。FTも、新築物件が供給過多で売れない状況が続いているとしている。今期の不動産投資は2009年以来最低の2.6%増にとどまっており、「不動産開発業者は、売れ残ったマンションを売り切るまで新たな住宅建設を中断している」という。国際総合金融機関・INGのアジア調査責任者、ティム・コンドン氏も「住宅市場は依然弱いというのが個人的な見解だ。減速が続くだろう」と予想する(ロイター)。

 多くの識者は、成長の減速は少なくとも来年にかけて続くと見ているようだ。今後、金融・財政の追加刺激策が取られるという見方も強い。次の第4四半期に追加利下げが行われるという予測もある。また、今月末の共産党中央委員会全体会議で、年間成長目標が引き下げられる可能性も指摘されている。

◆TPPの恩恵を受けるベトナムが中国のライバルに
 今、中国に取って代わる勢いで「世界の工場」として急成長しているのが、ベトナムだ。WSJは、特に衣料品などで「メイド・イン・ベトナム」が、今後「メイド・イン・チャイナ」を凌駕するのではないかと見ている。中国の輸出が賃金上昇と労働力不足によって陰りを見せる中、ベトナムは「若い労働力と中国の概ね半分の賃金により、アドバンテージを得ている」とWSJは記す。

 同紙のレポートによれば、ベトナムで最大の人口を抱えるホーチミン市の郊外は今、パイナップルやマンゴーの畑が広がる農村地帯から工業地帯に様変わりしつつあるという。現在、この地には12の工業団地があり、その約40%が衣料・繊維工場だ。ナイキなどの海外大手企業の大規模工場も目立つ。その一つ、衣料品などにラベルやタグをつける業務を請け負う米大手エイブリィ・デニソン社は、約28万平方メートルの巨大工場を建設し、日本のユニクロの衣料のタグ付けなどを行っている。

 各社が近年特に、ベトナム進出に熱心なのは、TPP施行後を見据えてのことだ。米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所は、TPPで最大の恩恵を得るのは、関税撤廃により、アメリカ、日本などの巨大市場に積極的にアクセスできるようになるベトナムだと見ている。同研究所は、ベトナムの主要輸出品である衣料品の利益は2025年までに46%増の1650億ドルになると見ている。ベトナム政府も、TPPにより、今後10年間でGDPが20%程度伸びると試算。WSJは、ベトナムが今後、世界最速の経済成長を果たす可能性は十分にあるとしている。

(内村浩介)

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