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中国軍事パレード:1万超の工場停止 犬、猿、鷹の動員…何としても成功させたい舞台裏

  • カテゴリー:国際
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中国軍事パレード:1万超の工場停止 犬、猿、鷹の動員…何としても成功させたい舞台裏

 中国・北京の天安門広場で3日、「抗日戦争勝利」70年を記念して軍事パレードが行われる。パレードには、中国の軍事力をアピールし、国威発揚を図る狙いがあると見られている。中国では現在、株価の下落や景気の減速、爆発事故など、重大な国内問題が相次いでおり、政府に対する国民の視線は厳しいものとなっている。そのような折にパレードが行われるのは、中国政府・共産党にとってはむしろ絶好のタイミングだと、一部海外メディアは捉えた。諸問題から国民の目をそらさせ、国民の支持を回復するチャンスになるというのだ。

◆経済問題から国民の目をそらさせ、イメージアップを図るチャンス?
 海外メディアの観測では、中国政府・共産党は今、苦しい立場に追い込まれてきている。

 インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(INYT)が理由の筆頭に挙げるのは、中国国内の経済問題だ。中国国民にとって、中国共産党の統治の正当性の主要な源は、経済成長を成し遂げる力が党にあることだが、そのことに国民は疑問を抱き始めている、と同紙は語る。

 中国共産党は現在、暴落する株式市場と格闘しており、また景気後退が社会不安を駆り立てるかもしれないと懸念している。そんな時にパレードが行われるのは、党にとってはこれ以上ないほど良いタイミングかもしれない、と同紙は語っている。パレードは経済への不安から国民の目をそらさせ、党のイメージアップのチャンスを提供するものだというのだ。

◆爆発事故に対しても怒る中国国民。軍事パレードは「必要な気晴らし」?
 米ニュース専門放送局CNBCも同様の見方をしている。軍事パレードは中国(政府)にとっての最新の活力剤だとしている。

 CNBCもINYTと同様、政府の経済問題への取り組みに対し、国民からの批判が高まっていることに注目。さらにCNBCは、死者を出した天津での化学薬品爆発事故と、山東省東営と甘粛省隴南での最新の爆発事故によっても、政府に対する国民の怒りは高まっている、と昨今の状況を整理する。

 株式市場の猛烈な急落を含む最近の出来事が、中国政府への信頼をぐらつかせた。そういったなか行われる豪勢な軍事パレードは、政府の統治の正当性を補強する最新の手段となるかもしれない、とCNBCは語る。

 外交問題評議会(CFR)のリサーチ・アソシエイト、ローレン・ディッキー氏は、「パレードは、中国のナショナリズム、軍事力、他国との関係をはっきりと顕示するばかりでなく、国内の景気後退、天津での最近の爆発事故、進行中の環境問題、汚職から注意をそらす、必要な気晴らしでもある」と研究ノートで論評したとのことだ。

 これら2メディアは、パレードの諸外国へのアピールという側面以上に、国内向けの懐柔策という側面が重要になってきている、というところに注目している。

◆国内問題のせいでパレードの効果がそがれないようにと腐心
 ブルームバーグは、パレードが近づいた今、習政権は、気が付くと難題に取り囲まれていた、としている。ブルームバーグはこのパレードを、2008年北京オリンピック以来、(中国政府にとって)最大の宣伝イベントと位置づけている。そして、現在中国が置かれている状況は、その当時とは対照的だとしている。当時、欧米諸国の経済は世界的な経済危機で動揺していたが(北京オリンピックはリーマンショック発生の直前)、中国は好調の波に乗っていた、と記事は説明する。

 ブルームバーグの記事は、上記2メディアとは切り口が異なっている。このような状況だからこそ、パレードの実施に問題があってはならない。また、さまざまな要因のせいで、パレードの効果がそがれるようなことがあってもいけない。それゆえ中国当局は、先例のない、さまざまな措置を講じている、という論旨だ。

 中国の習近平国家主席にとってパレードはいわば正念場だ。「中国政府は国際社会から、面目を施したと思われたいと熱望しており、また災難続きの1年間の後で、国民にとっての政府のイメージを維持しようと試みている。習主席は、問題が何も起こらないようにと非常に心配しているだろう」と、ニュージーランドのカンタベリー大学で中国の宣伝活動を研究するアンヌマリー・ブレーディー教授はブルームバーグに語っている。

 ブルームバーグの見立てでは、この記念行事によって習主席は、「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」と、中国の国際的影響力を世界にアピールする機会を得た。そのメッセージに影が差すことがないよう、パレードを確実に成功させることが重要であり、そのための広範囲の措置だという。

◆サル、タカ、イヌの手も借りたい
 それらの措置の中でも、優先度が高いのは、株式市場の安定化だとブルームバーグは語る。中国では9000万人以上が証券会社の口座を持っていて、数でいえばすでに共産党員数を上回っている。中国国営メディアが株取引を奨励したこともあり、個人投資家が株式市場に殺到、株価は高騰した。しかしその後の急落で、個人投資家は裏切られたと感じているという。当局は先週、株価下落を食い止めるため市場介入を再開したが、それはパレード前に相場を安定させることを切望したからだと、事情筋が語っているそうだ。

 中国政府は、大気汚染改善のために工業生産を犠牲にすることもいとわないでいる、とブルームバーグは伝える。1万2000ヶ所以上の工場で操業が停止させられたと伝えるが、NHK(8/27)が中国メディア情報として伝えるところによれば、生産の停止や制限が課された工場は1900ヶ所以上とのことで、大きな開きがある。また北京市民は、車を運転できる日を制限されているそうだ。

 さらにブルームバーグは、軍事パレードで、鳥が航空機に衝突する事故が起きないように、犬、猿、鷹までも動員して鳥を追い払っていると、中国国営英字紙チャイナ・デイリーを引用して伝えた。チャイナ・デイリーによると、重さ1.8キログラムの鳥が、時速700キロメートルで飛ぶ飛行機と衝突した場合、その衝撃は軍用砲弾以上だそうだ。このサル動員のニュースは、INYTやウォール・ストリート・ジャーナル紙も詳しく報じている。

(田所秀徳)

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