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メキシコ高速鉄道PJ、中国企業が優勢? 日本企業らが不利…その背景とは

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メキシコ高速鉄道PJ、中国企業が優勢? 日本企業らが不利…その背景とは

 メキシコ政府の高速鉄道建設プロジェクトをめぐり、疑惑が取り沙汰されている。これには三菱重工なども入札を検討してたが、辞退していた。疑惑の実態と、ペーニャ•ニエト政権のねらいを、現地報道からさぐる。

◆急すぎる入札
 同政権は、エネルギー、インフラ、通信の改革を掲げている。特に、中南米で最初の高速鉄道を開通させると意気込んでいた。8月には、メキシコ市・ケレタロ間(210km)を時速300kmで走る高速鉄道プロジェクトを発表した。ケレタロは中部の産業都市で、航空産業では同国トップレベルだ。2017年の開通を目指し、8月に早速入札が開始され、応札の締め切りを10月末とした。

 入札に参加したのは、中国鉄建(CRCC)、中国南車、メキシコ4社によるコンソーシアムだけだった。建設総工費は約53億ドル(メキシコのヘロDFデジタル紙)。このコンソーシアムの背後には、中国輸出入銀行が、建設費用の85%を20年の返済期間で金利3.22%で融資する、というメキシコ政府には魅力的な条件が揃っていた(メキシコのミレニオ•デジタル紙)。

 日本の三菱重工、ドイツのシーメンス、フランスのアルストン、カナダのボンバルディア、スペインのアディフらも入札に参加を予定していた。しかし、入札締め切りまでの期間が2ヶ月と短く、延長もメキシコ当局が受け入れなかったため、有力各社は入札参加を辞退した。ボンバルディアのトップは「このような大きなプロジェクトには地形や環境調査に1年は必要である」と述べていた(メキシコのウニベルサル紙)。

◆突然の契約破棄
 メキシコ政府は、2014年から工事を開始し、2017年には開通させたいという焦りがあった。結局、政府は各社の技術レベルなどを十分に比較することもなく、11月3日に中国企業コンソーシアムが落札したと発表した。

 しかし4日後の11月7日、ペーニャ•ニエト大統領はそれを無効としたのである。契約破棄の理由を、大統領は「この大きなプロジェクトに疑惑を生むことなく、より透明性を持たせる為である」とした。

 その後、上院諮問委員会の席で、ルイス・エスパルサ長官は、この入札は公明正大であったとしながらも、事前にこのコンソーシアム代表企業と北京で会合をもったことを認めた。それを裏づけるべく、その翌週には中国の技術陣200名がメキシコを訪問して、現場などを調査していた(メキシコのヘロDFデジタル紙)。

◆スキャンダル:メキシコ企業との癒着疑惑
 なぜメキシコ政府は、契約を無効としたのか。様々な憶測が飛び交った。真相は、契約破棄につながるスキャンダルが報道されるとの情報を、公表前に、ペーニャ•ニエト大統領が先につかんだからだ。

 このスキャンダルは、ニュースサイト『アリステギ•ノティシアス』が9日に報じた。大統領夫妻が所有する邸宅の名義人が、中国企業コンソーシアムに参加するメキシコ企業の1社が属する親会社ヒガグループになっているというのだ。さらに、彼がメキシコ州知事の時に、このグループが同州政府から受注した事業は約5億2千万ドル(約617億円)にものぼった、とも報じられた。大統領選挙時にも、このグループが資金協力していたことも伝えられた(メキシコのシネンバルゴ•デジタル紙 )。

 アンヘリカ•リベラ大統領夫人は、メキシコの有名なテレビ女優だった。彼女は邸宅がヒガグループの名義になっていることを認め、邸宅の建設費用700万ドル(約8.3億円)を全額払った段階で、彼女の名義にするつもりであった、と釈明している。しかし11月20日、大統領はヒガグループとの癒着の疑惑を晴らすため、邸宅を売却すると発表した。

◆新たな入札の行方
 新たな入札は12月に公開される、としている。応札期間は半年。既にシーメンス、アルストン、ボンバルディアは入札参加に興味を示している。三菱重工の参加は現地メディアでまだ報道されていない。今回落札を逃した中国企業グループも参加する意向を示している(メキシコのウニベルサル紙)。

 中国企業は、メキシコ政府から前回の受注破棄による損害として1600万ドル(約19億円)を賠償金として受け取っている、と香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙が3日に報じた。しかし、メキシコ政府はそれを否定している(メキシコのシネンバルゴ•デジタル紙)。

 中南米で高速鉄道の建設が現状可能なのは、メキシコとブラジルだけである。ブラジルでは、中国企業が受注する可能性が高い。BRICSを構成し、双方の関係は密接なためだ。

 一方、日本企業による中南米での新幹線輸出は、メキシコが唯一の機会といえる。

 かつて中国は、川崎重工とシーメンスに対し、高速鉄道導入の期待感を両社にもたせて、試験的に編成車両を輸入した。しかし実際には、それを解体してコピーし、今では「中国の高速鉄道の技術は日本のそれよりも上である」と自負して世界に売り込んでいる 。

 車両だけでなく鉄道システムとしての輸出など、日本の価値を伝えられる施策に期待したい。

(Newsphere編集部)

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