“自衛隊機が地域の安全を脅かす” 中国、スクランブル発進増加を非難

 中国は30日、自衛隊機による中国機に向けた緊急発進(スクランブル発進)を止めるよう、日本に求めた。中国国防省の楊宇軍報道官は、自衛隊機のスクランブル発進の増加は、空と海の安全を脅かしている、と非難した。

◆自衛隊スクランブル発進急増を中国は非難
 領土問題で対立する中、日中はお互いに、軍の航空機が近づきすぎて危険だと訴えている、とロイターは報じた。

 日本防衛省の10月の発表によると、中国機への自衛隊機のスクランブル発進は、2014年4月から9月までに計207回と、前年同時期の149回に比べ大幅に増加した。7月から9月には、29%増加し103回で、中国機に対するスクランブル発進が全体の半分以上を占めた。

 楊報道官は、「日本により発表されたこれらの数字は、日本が中国軍機を頻繁に追跡、偵察、干渉していることをはっきりと示すものだ」「日本によるこのような行動は、日中の航空の安全性に問題を引き起こす。中国は日本に間違った行動を止めるよう求める」(ロイター)と述べた。

◆日中軍同士の連携を話し合い
 しかし、一方で、中国と日本の防衛省は、海上での連携について必要な話し合いを前進させている、と楊氏は述べた。

 日本と中国は9月、海上行動について高官レベルの話し合いを始めたばかりだ。9月の末には、中国山東省の青島市で、話し合いが行われた。両国は、不本意な衝突を防ぐため、対立で滞っていた軍同士のホットラインを設置するという計画についても話し合いを再開した(米『ディフェンス・ニュース』)。現在、海上での連携に関しては両者とも大筋で合意している、と中国国営新華社通信は報じている。

◆高まる日中首脳会談への期待
 安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳会談は、いまだに行われていないが、今月イタリアでのアジア欧州会議(ASEM)首脳会合では、安倍首相と李克強首相が言葉を交わす機会があった。また、22日にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会合出席のため訪中した麻生太郎副総理兼財務大臣と張高麗筆頭副首相が「立ち話」の形式で会談した。  

 11月北京で開催されるAPEC首脳会合に合わせた、日中首脳会談の期待は高まっている、とディフェンス・ニュースは報じている。

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Text by NewSphere 編集部