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北米の「孔子学院」相次ぎ閉鎖 中国政府のプロパガンダ教育に、学界から批判

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北米の「孔子学院」相次ぎ閉鎖 中国政府のプロパガンダ教育に、学界から批判

 中国政府が中国語・中国文化の普及のために世界の教育機関で展開する「孔子学院」が、アメリカやカナダで相次ぎ閉鎖・提携中止に追い込まれている。9月29日にはシカゴ大が契約更新を見送り、その翌日にはペンシルバニア州立大が提携打ち切りを発表。カナダでは最大都市トロントの教育委員会が提携計画を撤回した。

 それぞれ詳しい理由は明らかにされていないが、中国政府の意向を強く受けた「孔子学院」によるカリキュラムへの介入が、強い反発を受けているようだ。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)、エコノミスト誌など複数の欧米メディアが報じている。

【急速に広がる孔子学院】
 孔子学院は、中国政府直属の中国語・中国文化の教育機関だ。世界各国の大学などと提携し、キャンパス内に専用施設やクラスを設けている。教員の給料をはじめ、運営資金は実質的に中国政府が負担し、中国語教育に資金を回す余裕のない大学などに広く受け入れられている。中国側からすれば、世界に親中派を育成する「ソフト・パワー戦略」の中心という位置づけだ。

 エコノミスト誌によれば、2004年、韓国・ソウルに海外学院が設立されたのを皮切りに、2013年末時点で世界に440機関・646クラスを展開、約85万人の生徒が登録している。これらの40%以上はアメリカに集中している。日本には立命館大学との提携機関などがある。2015年末までに、さらに60機関・350クラスを追加する予定だという。

【ダライ・ラマの講演を中止させたケースも】
 しかし昨今、その教育内容について、米国内の大学教授や教育関係者から批判が相次いでいる。今年6月には、全米大学教授協会が、孔子学院側が握っている授業内容や教科書の選択、講師募集の権限を大学側に移譲しない限り、全ての大学は孔子学院との関係を断つべきだとする声明を発表した(NYT)。

 同協会は、「孔子学院は中国国家の触手として機能し、学問の自由を侵害している」と批判している。例えば歴史の授業では、台湾の存在やチベット政策、天安門事件など「中国共産党が政治的にデリケートだとみなす重要な項目がしばしば省略されている」という(NYT)。

 さらに、エコノミスト誌によれば、チベット亡命政府のダライ・ラマ師を講演に招いた米国内の複数の大学で、学内の孔子学院の介入によって、講演の中止や学外での招待を余儀なくされたケースもあったという。

【政府とコネのある三流教師を派遣?】
 シカゴ大とペンシルバニア州立大の提携打ち切りは、こうした批判の声に応えたものと言えよう。シカゴ大では、孔子学院の閉鎖を求める100名以上の教員・学生の陳情が、大学当局に寄せられた。ペンシルバニア州立大は「孔子学院と我々の目標が一致していない」と理由を説明している(ビジネスウィーク誌)。

 米国内では、今後もこれに追随する動きが広まると見られている。ビジネスウィーク誌によれば、カリフォルニア大学アーバイン校の中国史の権威、ジェフリー・ウェザーストーム教授は、アジア・ソサエティのオンライン誌に「私は孔子学院に疑念を抱いている。アーバイン校に設立されないことを願う」と寄稿した。

 中国内からの批判も出始めている。上海のある中国人教員は、孔子学院の方針を「時代遅れ」だと批判し、「学院は政府とコネのある三流教師を派遣している。彼らの多くはただアメリカで働くことが楽だと思っているだけだ」と同誌に暴露している。

【カナダでも反対運動が広がる】
 カナダでも「脱・孔子学院」の動きが広まっている。オンタリオ州ハミルトンのマクマスター大学は、既に2012年の段階で孔子学院を閉鎖。今月には、トロントの教育委員会が、市民の反対運動を受けて孔子学院との提携計画を撤回した。地元紙グローブ・アンド・メールによれば、反対運動を先導したのは中国系市民だったという。

 同紙は教育委員会の決断を「両手を上げて歓迎する。完全に正しい」と評価。孔子学院の狙いは純粋な教育ではなく、「マルクス・レーニン主義から起こった腐敗に満ちた一党独裁政権」のプロパガンダだと切り捨てる。そして、「孔子学院を運営しているのは、25年前に天安門広場で学生を虐殺し、今日の香港の民主化運動を弾圧しているのと同じ政府だ」と記している。

 ペンシルバニア州立大の契約更新交渉に参加したエリック・へヨット教授は、NYT紙上で次のように述べている。「アメリカもソフト・パワーによる教育文化戦略を行っており、それ自体には何ら問題はない。しかし、ソフト・パワーのツールはオープン・マインドで用いられるべきだ。伝えたいことを押し付けるばかりでなく、時には相手の言い分も聞き入れなければならない。孔子学院にはそうした柔軟性が欠けていた」。

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(Newsphere編集部)

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