日本へ輸出の米ウナギも、漁獲禁止の可能性 生物種保護の重要性を海外紙は指摘

 日本で暑い時期を乗り切るために栄養価の高いウナギを食べる習慣は、万葉集にも詠まれている古くからの伝統だ。「土用の丑の日」にウナギを食べるようになったのは江戸時代からだが。今年の土用の丑の日である7月29日前後もウナギ消費は大いに盛り上がりを見せ、セブンイレブン等ではウナギの形をした菓子パン(ウナギ成分無し)まで登場した、と『Food Beast』は報じている。

 しかし、世界的にウナギの数が減少し、値段も高騰する中、日本の伝統食文化であるウナギをいつまで食べることができるのか、懸念が広がっている。

【ニホンウナギ絶滅危惧種指定】
 1980年代後半からの乱獲と生息環境の悪化のため、日本のウナギの個体数は減少し続け、値段も高騰している。ついに今年6月、国際自然保護連合(IUCN)は、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定した。

 日本は、年間約10万匹のウナギを消費しており、これは世界の漁獲量の約70%にあたるという(『Smithsonianmag』)。ウナギの養殖が進んでいる日本だが、稚魚は漁獲に頼らざるを得ない。日本国内の稚魚だけでは足らず、アジアやヨーロッパなどからも掻き集められてきた。日本のウナギ大量消費は世界のウナギにも影響を及ぼしている。

【ヨーロッパウナギ輸出禁止とアメリカウナギの乱獲】
 2010年、大幅に減少したヨーロッパウナギを保護するために、EUが輸出を禁じた。

 また、2011年の東日本大震災と津波が、ウナギの養殖場に大損害を与えたこともあり、アメリカウナギが注目を集めるようになった。ウナギの稚魚の主要な供給元となった米メーン州では、2010年から2012年までに、ウナギの稚魚の値段が13倍になり、1ポンド2,600ドルまで高騰したという(『Scientificamerican』)。

 ウナギ・ゴールドラッシュに沸くメーン州であるが、アメリカウナギの数が激減していると専門家は指摘する。メーン大学のウナギ生物家であるジェームス・マクリーブ氏は、生態系への影響を懸念している、と同メディアは報じている。

 合衆国魚類野生生物局は、2015年にアメリカウナギを絶滅危惧種リストに加えることを考慮しており、アメリカ中でウナギ漁が禁止される可能性がある。

【伝統や文化よりも生物種の保護が重要】
 問題はウナギだけに留まらない。カキやエビ等他の海洋生物の減少も懸念されている。伝統や文化を失うのは非常に残念だが、生物種を失うことはもっと深刻な問題、と『Smithsonianmag』は指摘している。

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Text by NewSphere 編集部