朴大統領、中国でまた日本批判 「共闘」主張の韓国紙、「中韓の温度差」指摘の日本紙

 韓国の朴槿恵大統領は、2日に放映された中国国営中央テレビ(CCTV)のインタビューで、日本政府が6月20日に公表した河野談話の検証結果を非難した。朴大統領は「これは、犠牲者の心と両国の関係をさらに傷つけるものだ」など批判を繰り返した。

 検証は、政府によって指名された但木敬一元検事総長ら有識者5人が行った。報告では、日韓政府が秘密裏に話し合いを持ち、両者の要求を満たすため談話の内容が調整されたとしている。 

 日本政府は検証について、謝罪を見直す趣旨ではないと説明している。外務省の佐藤地報道官は同日、朴大統領の発言は残念だと述べた。

【検証結果の影響】
 検証によって、談話は歴史的事実を反映していないと訴える日本の保守派政治家たちが、安倍晋三首相に謝罪取り消しを求める圧力を強めるのではという不安を、韓国が募らせている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。また談話の検証は、長年もめている慰安婦への賠償問題も悪化させるだろうとしている。

 日本は、検証結果に関係なく、談話の内容を支持する姿勢は変えないとしている。しかし、韓国外交部は反発。今回の調査は、「事実を捻じ曲げたもので、河野談話の信用性を損なう内容を含んでいる」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)と非難した。

 朴大統領は、「日本は最近、河野談話作成の過程を検証することで、その価値を貶めようとしている」「犠牲者を深く傷つけるもので、両国の信頼関係を裏切り、国際的社会の厳格な意見を無視しようとしているのではないか」(聯合ニュース)と強い懸念を示した。

 同メディアは、発表により謝罪発言の信頼性が損なわれるだろとの見方を報じている。

【中韓首脳会談で日本への対応を話し合い】
朴大統領の中国メディア出演は、3日の習近平国家主席の韓国訪問に先立つものだ。両国首脳は会談で、安倍首相のもとで日本が国家主義に傾くことへの不安を表明するとみられる(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。

 中国外務省の劉振民次官は1日、中韓首脳は日本についても話し合うと述べた。「中国と韓国は共に戦時中の日本軍侵略による犠牲者だ。そのため中国と韓国はこの問題に関して等しい懸念を共有している」(聯合ニュース)「日本の一部の右翼勢力が歴史を改ざんしようと企んでいる状況で、両国が日本(の歴史問題)について言及しないというのはむしろ不自然だ」(朝鮮日報)と述べた。

【中国と韓国には温度差か?】
 ただ劉氏は、「今回の訪韓は日本を意識したものではない」とも説明し、「日本に関連する措置や声明、会談の内容などを発表することはないと思う」(朝鮮日報)と述べている。

 また聯合ニュースは、3日の会談で話し合われる予定の最重要課題は、北朝鮮の核兵器開発の問題だろう、と報じている。

 中国のテレビに出演しているにもかかわらず、日本批判を繰り返した朴大統領に対し、北京の改革派知識人から「もっと中韓関係のことや朝鮮半島の非核化問題に関する考えを知りたかった」との感想が聞かれた、と産経新聞は報じている。

 同紙は、中国政府が5月から日本の訪中団を積極的に受け入れるなど、対日強硬姿勢を緩和する動きを取り上げた。そして中国政府の朴政権との温度差を指摘する向きがあるとしている。

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Text by NewSphere 編集部