モディ印首相の初外遊は日本? 官民からの期待大…中国とどちらが先か地元紙は注目

 5月にインドの新首相となったモディ氏の最初の外遊先は日本ではないか、という見方が強いようだ。海外各紙は予想と分析を繰り広げている。

【日本側からの提案をインドメディア報じる】
 インドの日刊紙『ザ・タイムズ・オブ・インディア』は、日本側からモディ首相に対し、6月の終わりか7月上旬の訪日が提案されたと報じている。

 同紙によると、岸田外務大臣はスワラージ新インド外務大臣と電話会談を行い、モディ首相の訪日時期について、外交当局を通じた調整をしているという。八木毅インド駐箚特命全権大使がアジット・ドバル国家安全保障顧問を先週訪問したときも、日程について提案があったという。インド政府側はまだその提案を受け入れていないが、モディ首相は興味を持っている、と同紙は報じている。

【安倍首相とモディ首相の親密関係】
 モディ首相と安倍首相には多くの共通点がある、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘する。どちらもナショナリストで、経済成長策を重視しており、中国の台頭に懸念を抱いている点だ。

 またモディ首相には、グジャラート州首相時代に日本企業からの投資を地元へ導いた実績がある。親日といわれるモディ首相と日本との関係強化は、インドに投資したい日本企業にとって朗報だ、と同紙は指摘する。

 中国の台頭に懸念が高まるにつれ、日本とインドの経済関係は強化されてきた。国際協力銀行による最新の調査では、日本企業の投資先として、インドはインドネシアに次いで2番目に好まれている。一方、中国は、1992年の調査開始以来ずっと1位だったが、4位に転落したとのことだ。

【モディ首相はまず日本に行くべき】
 また、ザ・タイムズ・オブ・インディアによると、モディ首相の訪米は9 月の最終週に予定されているらしい。中国の習近平国家主席も、9月にインドを訪問するのではと見られているという。

 そんな中、ウェブ誌『ディプロマット』のアンキット・パンダ氏は、「モディ首相は1日も早く日本を訪問すべき」との見解を示している。日本はインドの大規模インフラプロジェクトの主要な投資家であり、日本との結束はインドにとってメリットしかないと指摘する。また日本も、積極的にモディ首相とBJPに手を差し伸べることで得るものがたくさんあると述べている。

 なぜなら安倍首相にとって、インドは今後、アジア安全保障秩序の要となるからだという。安倍首相は自身の掲げる「安全保障ダイアモンド」の一角としてインドを構想している。今やほとんど忘れられた感のある同策だが、先日行われたシャングリラ会合でのスピーチでもこのレトリックは使われた。日印米の「3ヶ国間協力」について何度も言及されたのだ。これを「日米同盟にインドの支持も加えたいという安倍首相の意向の表れではないか」と同氏は分析している。

 モディ首相が日本以外の国を最初に訪問する可能性はあるが、どの国も現時点ではあまり説得力のある目的地と考え難い、と同氏は言う。インドにとって、日本への訪問はモディ首相の「アジア重視」方針に説得力を与えるし、日本と積極的に協力することはアジアにおけるインドの地位向上になる、と同氏は指摘する。

 ザ・タイムズ・オブ・インディアも、「日本側も、モディ・-習近平対談の前に、モディ・安倍対談を実現させたいはずだろう」と分析している。同紙によると、モディ首相は既に、今後中国からの投資を増やすべく、両国の経済関係を強化する計画も発表しているという。

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Text by NewSphere 編集部