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インド次期首相候補モディ氏の人物像は? 経済再生のらつ腕政治家だが、ヒンズー至上主義を海外紙懸念

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インド次期首相候補モディ氏の人物像は? 経済再生のらつ腕政治家だが、ヒンズー至上主義を海外紙懸念

 7日、インドで総選挙(下院選)が始まった。インドは世界最大の民主主義国であり、人口は現在12億人を超えている。有権者数はおよそ8億1500万人で、2009年の前回選挙の時からだけでも1億人以上増えているという。この途方もない規模に対応するため、投票は1日では終わらず、来月12日まで、9回に分けて地域ごとに行われる。開票は同16日に一斉に行われる。

 今回の選挙の注目点は、事前調査によると、最大野党であるインド人民党が政権を奪うことが濃厚となっている点だ。そうなれば、現在グジャラート州の州政府首相を務めるナレンドラ・モディ氏が、国の首相に就任することになる。この人物を紹介する各メディア記事では、施政能力への高い評価と、それさえも打ち消してしまいかねないマイナス評価とが交錯している。

【経済再生の手腕を求める有権者】
 現在、インドは景気の減速に悩まされている。インフレが続き、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、現在の物価上昇率は8%である。また、インドでは若年人口の割合が高く、2006年の推計では、人口のおよそ43%が20歳未満だった。フィナンシャル・タイムズ紙によると、毎年約1000万人が新たに労働人口に加わるという。このような状況では、高い経済成長率の下での雇用の創出は、死活問題だ。

 モディ氏がもっとも期待されているのは、この点に関してで、氏には十分な実績もある。2001年にグジャラート州の州首相として就任して以来、氏は積極的にインフラを整備し、企業を誘致してきた。2001年から2012年、インド全体の経済成長率は年平均7.7%だったところ、グジャラート州では10.1%だった。毎日新聞が言うように、氏はグジャラート州をインドで最も豊かな州に育て上げた。自分が首相に就任したあかつきには、インド全体が同じ成長を経験するだろう、とモディ氏が述べたと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が伝えている。

【現政権への不満が、野党への期待に直結】
 モディ氏は、インド国内で熱狂的と言えるほど支持を得ている。モディ氏の勝利を見込んで、株式市場では株価が上昇した。世論調査では、回答者の63%が、インド人民党による新政権を望んでいる。一方、現政権の続投希望はわずか19%だった。経済停滞を生じさせ、政治家や役人が汚職まみれになるのを看過し、旧来のばら撒き政策頼みを続ける与党に対して、インド国民のあいだで嫌気が高じているのだ。モディ氏は、政治家として清廉潔白なイメージを持たれており、腐敗した国の政治体質を変えてくれるとの期待も大きい。

【人権問題に敏感な海外メディアが、放置できない問題】
 しかし、モディ氏の首相就任を、もろ手を挙げて歓迎している海外メディアは少ない。氏は、人権問題で重大な疑念を持たれているためだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、氏は、幼い頃から、ヒンズー至上主義団体の「民族義勇団」(RSS)に参加していた。ヒンズー教はインド固有の宗教で、カースト制度なども含めて、インド国民の生活に密接に結びついてきた。現在、インド国民の8割がヒンズー教徒である。RSSは、インド国外で生まれたイスラム教、キリスト教の排斥を強く志向している。なお、インドではイスラム教徒は13%、1億5千万人以上だ。

 同紙によると、インド人民党は、RSSの政治部門として1980年に誕生した。1992年に、アヨーディヤーという町で、RSS傘下の活動家を含めた数千人のヒンズー教徒が、イスラム教寺院を取り壊してそこにヒンズー教寺院を建てようとした。そこはインドにとってのイスラエルのような場所なのだ。そのため、暴動が発生し、数ヶ月続いた。その後行われた国政選挙では、インド人民党が議会第1党に躍り出た。

 2002年には、モディ氏が州首相を務めるグジャラート州で、ヒンズー教徒58人が列車火災で死んだのをきっかけとして、大暴動が発生した。その暴動で1000人以上が殺害されたが、その大半がイスラム教徒だった。氏はその数ヶ月後に州議会を解散し、選挙を実施した。その選挙ではインド人民党が大勝利を収めた。

 氏は、この暴動を止めるための十分な措置を取らなかったと批判されている。あえて看過したのではないか、という疑いも持たれ、インド最高裁判所の管轄下で調査を受けたこともある。氏自身は、証拠不十分で不起訴となったが、一部の側近は暴動への関与が認められ、実刑判決を受けた。アメリカ政府はこの件に絡み、2005年、モディ氏への入国ビザ発給を拒んでいる。

【政党マニフェストでもヒンズー至上主義を打ち出す】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、モディ氏の有能な政治家としての顔の下にある、ヒンズー至上主義の強硬派としての側面を非常に警戒している。このような見解は、エコノミスト誌、フィナンシャル・タイムズ紙でも示されている。

 そして、投票の始まった7日に発表されたインド人民党のマニフェストでは、1992年の暴動のもととなった、イスラム教寺院の跡地にヒンズー教寺院を建設することが明記された。インド国内での宗教対立に、再び火がつくことが懸念されている。

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(Newsphere編集部)

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