中国出向は命がけ!? パナソニック、異例の「大気汚染補償」を支給へ

 パナソニックは12日、中国に派遣される社員に、大気汚染による健康被害を補償すると発表した。最近中国の一部の都市で、PM2.5の値が非常に高い値を示していることが理由だという。国際的な企業としては初めてだと報じられている。

 パナソニックは、中国で働く社員のうち、補償を受け取る人数や金額は明らかにしていない。また現地の中国人社員は対象ではないようだ。

 PM2.5は、2.5マイクロメートル以下の小さな汚染物質で、肺から血中に入ると喘息、癌、心臓疾患を引き起こす可能性がある。2008年には、北京の米国大使館が、屋根にPM2.5の測定器を取り付けたことで国際的な関心を集めた。

【健康被害の可能性を認める決定】
 中国はこれまでも「難しい勤務地」とされ、パナソニックでは中国へ出向した社員に他の地域よりも手厚い手当を支給していたとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。しかし、大気汚染の危険について、明確に言及した対応は初めてだという。

 中国拠点を持つ海外企業の採用担当者は、「企業によるこのようなきっぱりとした対応は、初めて耳にする」「社員に健康被害が及ぶことをわかっていて出向させるのだと、認めているようなものだ」と決定に驚いている模様だ。

【「大気汚染との戦い」を誓う中国政府】
 同紙によると、中国都市部では、子供たちは室内で遊び、マスクと空気清浄機がうなぎ昇りに売れているという。

 中国の李克強首相は5日、全国人民代表大会の開会式で「大気汚染との戦い」に望む決意を述べた。「スモッグの影響は、中国国土の大部分に及んでおり、環境汚染は主たる問題となっている。これは、自然が赤信号を点灯させ、非効率的で現状を直視しようとしない開発への警告をしているのだ」

 有害なレベルまで達している大気汚染は、中国国民の不満となっている。

 中国は2013年秋、人口が少ない西部での石炭開発を奨励し、沿岸部の都市での排出ガスの割合を減らす計画を打ち出した。北京に近く汚染の発生地とされ工業の盛んな河北省では、テレビ局を招き同省が環境問題に取り組んでいる様子を報道させた。中国政府は今年、エネルギー節約と環境保護のために2109億人民元(約3兆5000億円)の予算を組んだことを同紙が伝えている。

【環境汚染はどの国も通る道?】
『Kotaku』の、中国の大気汚染が悪化しているという記事には、下記のようなコメントが寄せられている。

・困難をいとわずに対策を講じる必要がある。でなきゃ数十年のうちに世界中が巻き込まれる。
・中国は自分で問題を解決するべきだ。どの国も産業発展のためにこんな状況を経験してきた。―――もし中国が発展の軌道から脱線したら、どの国がその代わりを果たせるって言うんだ?
・↑中国は、現代のテクノロジーを利用して、産業発展のための近道を通ることも出来ると思う。西欧諸国だってその責任があるだろうけど、まずは中国政府自身による環境規制も重要だろうね。
・↑問題はそんなに単純じゃないよ。この問題の解決には、中国国内の社会的・政治的な改革が必要だし、それは容易なことじゃない。

 早急な対応を望む意見の一方で、問題は複雑ですぐには解決できないのでは、という悲観的な意見もみられた。

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Text by NewSphere 編集部