大麻解禁のコロラド州、大幅税収アップ 使い道は教育か、治安か?行政と財界で激論

 アメリカ・コロラド州で今年1月1日から嗜好用大麻の販売が解禁されたが、1月の嗜好用大麻販売により、200万ドル(約2億円)の税収がもたらされた。この税収の使い道について、コロラド州では論争が繰り広げられているようである。

【税収は今後さらに伸びる見通し】
 ブルームバーグによれば、コロラド州では医療用大麻の使用は2000年から合法化されているが、今年1月の、嗜好用大麻の売り上げによる税収は医療大麻販売による税収90万ドルの、2倍を上回るもので、この数字は、州政府の予想と一致するものであった。「嗜好用大麻の1月の売り上げは予想通りであった」「4月までには、はっきりとした収入パターンというものが得られると期待しており、それを今後の予想に組み込んでいく予定である」と、税務当局の事務局長バーバラ・ブロー氏は述べたという。

 また、嗜好用大麻の小売のための登録料や、医療用大麻ビジネスの税収も含めると、59の企業の大麻産業からの税収は350万ドル(約3億6千万円)に及ぶと税務当局はコメントした。

 ワシントンポストは、1月1日の開始時点では24の企業のみがライセンスを受け、嗜好用大麻販売を開始したが、1月末までには59の企業が嗜好用大麻の販売を開始し、その収益を州政府に報告した、と報道した。同紙によれば、2月末までには、167の店舗で嗜好用大麻の販売が認められ、この産業はまさに今、成長が始まったところなのである。

【税収の使い道で意見の対立】
 この税収の使い道に関しては、意見が分かれているようである。

 ブルームバーグによれば、コロラド州のジョン・ヒッケンルーパー知事は、「私たち行政は、成人の大麻使用に関する、責任ある規制や、公共の安全、健康を守るための環境作り、そして未成年の大麻使用を防ぐために専心している」と、概算要求で述べた。また、知事は、「私たちが優先すべきことは、大麻を合法化することにより子供たちが受けるネガティブな影響というものを完全に取り除くということだ」とも述べたという。

 知事の案は、最初の4000万ドルを学校建設に、4550万ドルを未成年者による大麻の使用を防ぐために、4050万ドルを薬物乱用治療のために充てるというもの。州全体における大麻に関する3年間の教育キャンペーンや、住民に大麻について学んでもらうためのウェブポータル、コロラド州での不法な大麻栽培に関する情報収集、大麻とアルコールの影響を受けている状態で運転をした疑いのある者の記録などが、知事の税収の使い道には含まれている。これが決定するには州議会の承認が必要である。

 一方で、知事の案に反対する人々もいる。ブルームバーグによれば、知事の提案は、法執行機関、大麻ビジネスのオーナーや一部の住民から批判を浴びたという。

 コロラド警察署長協会の会長であるロバートLタイサー氏は、ヒッケンルーパー知事の計画には、法執行機関に資金を提供する上で、役に立つものが何一つとして無いという趣旨の内容の手紙を、3月3日付でヒッケンルーパー知事に送った。

 タイサー氏は、大麻による税収の15%を、大麻の影響下にある運転手を見つける訓練、大麻栽培を監視する法令遵守責任者の育成、州全体にわたる大麻に関連する犯罪のデータベース作成などに充てることを提案している。

マリファナ青春旅行〈上〉アジア・中近東編 (幻冬舎アウトロー文庫) [amazon]

Text by NewSphere 編集部