尖閣だけではない…中国の離島侵略演習を日米警戒 自衛隊の新たな動きに海外メディア注目

 小野寺五典防衛大臣は2日、長崎県佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地で上陸演習を視察し、離島の防衛・奪還作戦を念頭に置いた「水陸機動団」を設立する考えを示した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)などの海外メディアも、アメリカ・カリフォルニア州で行われた日米合同軍事演習と絡めてこのニュースを伝えた。

【「水陸機動団」にオスプレイも配備か】
 小野寺防衛大臣は視察先で、3000人規模の水陸両用部隊「水陸機動団」を平成30年までに設立し、九州南部の島や沖縄を含む南西諸島に配置する考えを示した。WSJはこれを、「尖閣諸島をめぐって日中の緊張関係が続く中、日本が新しい部隊について公的に言及したのはこれが初めてだ」と報じた。

 小野寺防衛大臣が視察したのは、水陸機動団の前身と目される西部方面普通科連隊によるゴムボートを使った上陸訓練だ。WSJは、水陸機動団は「米海兵隊に似た部隊」になると表現。それを念頭に、ここ数年にわたって、米軍から頻繁に訓練を受けていると指摘する。

 さらに同紙は、小野寺防衛大臣の発言をもとに、V-22オスプレイ垂直離着陸機やAAV-7水陸両用強襲輸送車のような、離島での作戦に特化した現在の自衛隊にはない装備が、水陸機動団に与えられると報じた。その運用に際し、グアムに建設される予定の米海兵隊訓練施設の使用を望んでいるという。

【過去最大規模で行われた敵前上陸の日米合同演習】
 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、アメリカ・カリフォルニア州で行われた日米合同演習『Iron Fist = 鉄の拳』の様子を詳細に伝えた。

 2日まで1ヶ月間にわたって行われた『Iron Fist』は、敵前上陸訓練などを中心に行う毎年恒例の合同軍事演習。NYTによると、自衛隊の参加は、開催初年の2006年はたった25人だったが、今年は、西部方面普通科連隊を中心に250人の自衛隊員が参加した。さらに高機動車(兵員輸送車両)など「島を占領するためのさまざまな装備を持ってくる力の入れようだった」と、NYTは報じる。

 期間中、南カリフォルニア全域でさまざまな想定の訓練が繰り広げられた。海兵隊施設のキャンプ・ペンブルトンでは、大規模な砂浜への上陸訓練が行われた。NYTは、その様子を次のように現地レポートする。

「AAV-7水陸両用強襲輸送車で海兵隊が上陸し、自衛隊もゴムボートで続いた。日本語と英語の叫び声が飛び交う中、ヒューイ・コブラヘリコプターの航空支援が行われた。そして、海軍のホバークラフトが現れ、増援のハンヴィー(兵員輸送車)と迷彩ペイントで顔を塗った自衛隊員が上陸した」

 訓練に参加した第15海兵遠征軍の指揮官、ジョン・オニール大佐は「最近の情勢により、この演習の重要性が増していることは間違いない。今年は過去最大規模だ」と、NYTのインタビューに答えた。

【「尖閣」「中国」を名指しこそしていないが・・・】
 イランの英語放送局『Press TV』は、日米の中国へ向けたメッセージ性の有無に着目してこの合同演習を伝えた。

 同局は、「演習は日中間の争いとはまったく関係がない。中国へのメッセージもない」という米軍高官の言葉をNYTの報道から引用。一方で、米陸軍参謀本部のオディエルノ大将が北京を訪問し、中国軍部の高官に日本との対話を呼びかけたことに触れ、「アメリカが尖閣問題に干渉するのは、天然資源の発掘に関係する複合的な政策があるからだ」という元米上院議員の見方を報じた。

 戦略国際問題研究所のシニア・アドバイザー、クリストファー・K・ジョンソン氏は、NYTのインタビューに対し、「日本が軍事的に真剣になってきているのは、中国が明白に島の奪取を目的とした演習を繰り返しているからだ」と語る。

 別の東アジア研究の専門家は、中国が狙うのは尖閣諸島などの無人島だけではないと懸念する。「既に無人島を守るという段階ではない。100万人以上の日本人が暮らすような島の、より大きな防衛問題になっている」。

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Text by NewSphere 編集部