日本がアメリカに原爆を投下!? ありえないインドの中学教科書、しかし回収予定はなし

 インド北西部グジャラート州で、英語教育を行う中等教育第8学年(13-14歳)約5万人の生徒たちが使用している社会科の教科書に、衝撃的な間違いが多発していることが問題視されている。

 同州教育研究訓練委員会(GCERT)が発行した全124ページの教科書中に、59以上の誤った事実や100以上のスペルミス等が指摘されているようだ。しかも、その内容がすごい。

【びっくり仰天な世界史】
 多くの報道で注目されているのが「第二次世界大戦で日本がアメリカに核爆弾を投下」という歴史的な間違い。実際にはその逆だということは世界的に常識レベルの事柄だ。その他にも「大規模な伐採によって有毒ガスである三酸化炭素(CO3)が発生している」(CO3は自然界には存在しない)という事実無根の記述まであると英BBCは取り上げている。

【イタすぎる自国情報のミス】
 国外だけでなく、自国についての情報もひどい間違いのオンパレードだという。例えば、同州出身者でインド独立の父として世界中から尊敬されているマハトマ・ガンジー氏に関しては、2章にもわたってページを割いているにも関わらず、痛恨のミスが多いとタイムズ・オブ・インディア紙は指摘。

「ガンジーは1925年5月に初のアシュラム(修行場)を設立した」(実際は1915年)や「同氏は1948年10月30日に暗殺された」(実際には1月30日)など、ケアレスミスではすまされない事態となっている。

 その他、インド独立のために戦った英雄たちの中には、名前すら記載されない人、記載があっても「過激派」と紹介されている人もいるという。

 また、1947年にインド独立と共に誕生したパキスタンを、「ヒンドゥークシュ山脈地域にイスラミック・イスラマバードという国家が誕生。首都はカイバルガート」などと紹介する、ちんぷんかんぷんな記述まであるとインドのヤフーニュースでも報じられている。

【英語教育への注力不足なのか】
 同州の教育大臣は「間違いが多いとは耳にしていた。迅速に正しい情報をネット上に掲示する」とコメント。教科書のリコールはできないものの、間違いは正していくと約束しているという。現在は2名からなる調査委員会を設置し、内容確認の他、教科書を作成した人々へのなんらかの対応も検討中のようだ。

 一方で、教育者らからは「作成者の能力の低さが顕著だ。原稿段階での確認が必要だった」という声や、「発行前に内容を誰も確認しなかったということが驚きだ。その上、教科書ができてから随分と時間が経っているのに、州政府が間違いの実態を確認してこなかったのも問題」という怒りの声が挙がっている(NDTVより)。

 また、政府は中等教育における英語教育の促進を図る事を掲げながらも、実際には真面目に取り組まれていないことが、この英語教科書の質の悪さからも明らかだと指摘している。

 このままでは関係当局による適切な対応も期待薄のようだ。教師や生徒たちが間違いに気づき、誤った知識を身につけないことを祈るしかない。

インドなんて二度と行くか!ボケ!!―…でもまた行きたいかも (アルファポリス文庫)

Text by NewSphere 編集部