韓国の“東海”ロビー活動、NYへ “不毛な騒動”と老舗地元紙が斬る

 韓国人は「日本海」という呼称を好まない。自国では両国間の海を「東海」と呼んでいる。国際的には認められず、却下され続けてきたこの名称だが、韓国は今なお諦めずに、世界で認知されるための活動を続けている。

 最初に実りある結果がでたのが、アメリカのバージニア州だ。韓国系住民が多い当地では、教科書の記載を改訂すべく地元団体が陳情活動を続けてきた。その結果、ついに「両名を併記する」法案が州議会に提出されるまでに至る。韓国系地元民の票を得たい議員のサポートもあり、法案は今月6日に州議会本会議を通過。あとは知事の承認を得るだけという段階まで辿り着いた。

 今、この波がニューヨークにまで及び、同様の議題が州議会にのぼろうとしている。14日、ある2名の州議員が、教科書における「日本海」と「東海」の併記を提案したのである。

【背景はやはり”高い韓国系比率”】
 ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、法案を提起したのはともに民主党のスタビスキー州上院議員と、ブラウンスタイン州下院議員。バージニア州と同じく日系より韓国系の方が多く在住するニューヨーク州の、そのまた更に韓国系の比率が高いクイーンズ区代表である。

「世界で広く知られている”日本海”という呼称は、韓国人にとって占領下にあったつらい時代を想起させるのです」スタビスキー議員は有権者にこう訴えたそうだ。

 朝鮮日報はこの状況を「両議員は地元団体に法案の実現を誓った」と伝え、州議会議員と韓国系団体が協力体制を組んだ、と報じた。

【追い風な情勢でも実現は甘くない?】
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ブラウンスタイン議員はこの戦いを「困難なものになるだろう」と語っている。

 バージニア州では同等の法案が可決され、両名併記の実現間近という段階まできた。しかし州の教育委員会によると、だからといってすべての学区が新しい教科書を使うとは限らないらしい。ニューヨーク州でも、仮に新しい教科書が実現しても、採用は各学区の判断に委ねられることになる。つまり、現実に効力のある法案となり得るかは先行き不明、というのが同紙の分析である。

【票集めのお愛想では?】
 一方、地元NYの老舗紙プレス・リパブリカン(1811年創立)は、一連の動きを「多くのニューヨーカーにとって不毛な騒動」と指摘する。

 日韓外交にとっては大問題かもしれない。あるいは国連なんかであったら議論の価値もあるだろう。しかしニューヨーク州民の大多数にとっては、これよりもっと切迫した事案があるはずではないか。

 しかし極めて重要な問題なのだ。地元有権者の人気獲得に必死な議員にとっては。

 同紙はこのような分析を示し、単なるご機嫌取りの空虚なパフォーマンスに終わる可能性を案じた。

日韓 歴史問題をどう解くか――次の100年のために

Text by NewSphere 編集部