“親日”マレーシアで日の丸燃やす激しい抗議 背景にある陰謀説とは?

 マレーシアの野党指導者アンワル元副首相が19日、成田空港で入国を拒否されたことで日馬関係に波紋が広がっている。同氏は日本財団から招かれ講演を行うために来日する予定だった。

 両者の言い分がすれ違う中、同氏が指揮を取る人民正義党の支持者らが中心となって、在マレーシア日本大使館で抗議活動を行っている。入国拒否の真相が解明されないことにも怒りが増し、日の丸に火を付けたり、日本製品の不買運動に発展しているという。

【すれ違う各者の言い分】
 成田の入国管理局の言い分は、同氏が1999年に職権乱用の有罪判決を受けた経緯から入管難民法の規定に従ったもので、事前申請もしくは空港で上陸特別許可の申請を行えば問題はなかったと述べている。

 一方アンワル氏は、訪日に伴い必要な手続きがあるか事前に在馬日本大使館に問い合わせをしたところ、昨年7月にマレーシア人に対するビザ免除措置が実施されたため、手続きは不要と言われた、と反論している。

 また、2011年、12年に訪日した際は問題なく入国できた点や、今回の入国拒否の理由がマレーシア政府による最新の報告書を参照したとだけ伝えられたことは説明不十分であり、その曖昧さゆえに裏に与党政府の陰謀が絡んでいるのではないかとの疑念の意を表している。

 与党側は関与を否定。日本政府が自国の規定にそって不適切とする外国人の入国を拒否することに問題はないとしながらも、マレーシア国民の入国が拒否された理由を日本政府はもっと明らかにするべきだと述べている。

【アンワル・イブラヒム】
 日本ではあまり知られていないアンワル氏だが、マレーシア野党連合の指導者で政権奪取を目指し活動しているカリスマ的存在だ。1990年代前半は、同国を大きく成長させたマハティール元首相の最右翼ともされ、副首相兼財務相を務めていた。

 しかし、アジア通貨危機に対する方針が対立したことから関係が悪化し、結果的には強烈なマハティール批判を展開するようになった。99年には職権乱用、翌年には同性愛(イスラム教国家のマレーシアの刑法では異常性行為罪にあたる)で有罪判決を受けた。同性愛の罪は2004年に取り消され後に無罪判決を受けている。

 釈放、無罪判決後も勢力的に活動しており、より民主的で自由な近代国家の実現を目指している。野党はとくに若者を中心に支持を増やしており、近い将来の政権交代の可能性も低くはない。そうなった場合には首相となることも十分にありうる存在だ。

【日馬関係への影響は?】
 今回の出来事に憤慨するアンワル氏の支持者が荒々しく抗議をする様子を、マレーシア各紙は連日報道している。これに対しアンワル氏は、日の丸を燃やすなどの過激な行動には賛同できないとし、不満を訴える自身の声も多少はトーンダウンをしている。ただし、入国拒否の明確な説明が欲しいとする意向は譲っていないようだ。

 今は野党リーダーだが、将来的に首相になる可能性も高い人物だけに、日馬関係のためにも事態を解明するべきだと訴える声を各メディアは報じている。

 また、日本は最近、マレーシア人の観光客誘致のためにビザを不要にしたばかりだ。マレーシアでは訪日の壁が低くなったと大勢が喜ぶ最中での出来事だったため、明日は我が身だとしてネガティブな衝撃となっているようだ。

 中国・韓国と関係が悪化する中、親日国家であるマレーシアは貴重なアジアの友好国のはずだ。激しい反日感情を表しているのが一部の人間だとしても、同国内での日本の良いイメージを保つためにも、これ以上深刻化しないことを祈るばかりだ。

“マレーシア発”アジア的新生(アンワル・イブラヒム)

Text by NewSphere 編集部