米国デフォルト回避 今後、危機再発の可能性は?

 米上院は16日、1月15日までの政府再開と、2月7日までの債務上限の実質棚上げを81対18で可決した。債務上限の引き上げ期限は翌日に迫っている。法案はただちに下院に送られるが、共和党のベイナー下院議長はこれに抵抗しない考えを表明している。オバマ大統領も、議会通過次第ただちにサインする姿勢を示している。

 銀行などではデフォルト(債務不履行)に備え、顧客が資産を現金化する動きも目立っていたが、議会妥結によって株価は回復し、ダウ平均は政府閉鎖前の水準をも上回った。ブルームバーグは日本にも株高が及んでいると報じている。

【共和党が折れたチキンレース】
 国民皆保険制度「オバマケア」に反対する共和党は、予算審議に抵抗し続けていた。しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、これ以上は党の評判を損なうと判断し、ベイナー下院議長ら党有力者が、妥協に向けて党内を説得した模様だ。健康保険料の補助金受給者に収入監査を行う点が盛り込まれたものの、結局法案に大きな変更はなく、共和党は単に押し切られた形になってしまった。

 共和党は今後も「積極的な監視」「スマートな、ターゲットを絞ったストライキ」で支出削減闘争を続ける姿勢を示しているが、党内や保守団体からは、指導部への不満が出ている。

【一時保留にすぎない妥協】
 財政問題は長期的に解決したわけではない。1月15日および2月7日まで、一時的な棚上げが成功しただけであり、政府支出が節約されたわけでもない。今後両院協議会により、「この場の袋小路」の解決だけではない、より広範な予算協議が12月13日答申提出を目指して試みられるが、それが合意に至る保証も勿論ない。

 財務省は緊急措置によって、2月7日に債務限度増加が可決しなくても「ひと月かそこら」借り入れを続けることができるかもしれない、と同紙は指摘しているが、共和党は財務省にそのような権限がある事自体も問題視している。

 さらに、今回オバマ政権が勝利した形に見えるとは言え、完全に共和党の恨みを買ってしまったため、移民問題などその他の課題に対処するにあたって、困難を生じるとも指摘されている。

Text by NewSphere 編集部