日中サイバー防衛最新情勢(1/2)日本政府への攻撃は100万件以上!

 小野寺防衛相は3日、ヘーゲル米国防長官と日米安全保障協議委員会(2+2)の会談を行った。
この会談では、日米防衛協力の指針を、2014年までに改定することで合意した。新指針では、日本や周辺の有事だけでなく、テロや海賊、宇宙やサイバー空間における防衛が課題となる。

 サイバー攻撃の脅威は、世界各地で拡大の一途をたどっているという。照準は今や、商業的なホームページやポータルサイトはおろか、国家機関にまで据えられている。

 アメリカなどに比べ、サイバー防衛に関しては後進国である日本や中国も、その脅威から身を守るべく、ようやく取組に本腰を入れ始めた模様だ。ワシントン・ポスト紙とボイス・オブ・アメリカがそれぞれ、中国・日本の現状と取組について報じた。

【日本のサイバー防衛対策】
〈増加の一途をたどる攻撃数〉
 ボイス・オブ・アメリカの報道によれば、日本にはサイバー空間で国家を防衛する専門中枢機関はなく、主要省庁から横断的に集められた技術者がその任に当たっている。チームによれば、2012年の政府ネットワークへの潜在的な攻撃は2011年のほぼ倍にあたる、1日当たり3000件、年間108万件に上った。近年は、コンピュータ・ネットワークに侵入し、スパイプログラムを仕掛ける「悪意のあるソフトウェア」にしてやられた例もあったという。

〈陸・海・空に次ぐ第四の防衛領域「サイバー空間」〉
 関係者が「急務」と口をそろえる対サイバー防衛の充実。その一環として、防衛省では、国家防衛の第四の領域として、従来の陸・海・空に「サイバー空間」を加える動きが進んでいる。現在散在している技術者を再編成し、100人の精鋭からなるサイバー防衛隊」とする計画で、そのための予算の増額に務めているという。

 しかし、「道は険しい」と同紙は指摘している。攻撃の手口が次々と洗練されていく一方で、「人員・資金・技術」のすべてが足りないというのだ。特に専門家が問題視するのが、日本では、法律によってハッカーへの反撃、追撃、ウィルスの製造は禁じられているため、ハッキングの「出所」を特定するすべがほとんどないことだ。

 日本の省庁に対するアドバイザー経験が豊富なセキュリティの第一人者、西本逸郎氏は、「私企業だろうが、防衛相のチームだろうが、現状ではなすすべがない」と、今後の課題の大きさに警鐘を鳴らしているという。

後編へ続く
日中サイバー防衛最新情勢(2/2)国内セキュリティ企業がウィルスばらまき

Text by NewSphere 編集部