EUはなぜタバコ産業への助成金を増額するのか?

 23日、EU加盟9カ国によって、タバコ製造業への助成金の増額を求めた改正案が概ね合意に達した。予算は2014年の導入に向けて今後検討される。これは、共通農業政策(CAP)改正の一環としてイタリア農相の主導でクロアチア、ブルガリア、スペイン、ギリシャ、ポルトガル、ハンガリー、ルーマニア、ポーランドが合意したものである事を海外各紙が伝えている。

 この改正は、政府によって業界が不当に差別される事がないよう求める内容が含まれている事をロイターが報じている。6月の改正案では、生産高に応じて毎年最高540億ドルに相当する15%の助成金が受けられる案が設けられていたが、穀物等特定の産物に限定したものであった。EUや欧州議会の働きかけにも関わらず、タバコは対象外であった事を同紙は伝えている。

【欧州委員会とタバコ生産業界】
 EU調査団は26日、不正疑惑で注目を集めているタバコ規制の前担当者に関する新たな調査を開始した事を発表した。

 昨年10月欧州委員会を辞任した、健康消費者保護担当ジョン・ダッリ委員に関する調査で、ダッリ氏は名誉毀損、として否定している事をニューヨーク・タイムズ紙は伝えている。マルタ人の実業家がダッリ氏との接触を引き換えにスウェディッシュ・マッチ社から金銭的利益を得ようとしたとみられており、当局は煙草の法案とスウェーデン以外での輸入禁止に関して影響を及ぼす努力をする見返りとみている事を同紙は伝えている。

【改正の影響と今後の課題】
 「クロアチアのたばこ製造保護は1300の家族経営農家とタバコが栽培されている6,000ヘクタ−ルの土地、そこで働く10,000人の季節労働者の保証を意味する」というクロアチア農相ヤコヴィナ氏のコメントをdalje.comは紹介している。

 改正案に関する欧州議会との交渉に於いて他の加盟国との連携が必要となる、とロイターは指摘している。EUの農相のトップはこのような動きに警告を発しており、議会による再交渉が予想される、と同紙は伝えている。

 EU諸国は毎年約280,000 トンのタバコの原料を生産しており、世界の生産の4%に相当する。諸国はタバコ販売の共同規制に関する新しい法案を議論している事をロイターは報じている。

 EUはタバコの箱の警告メッセージとパッケージに関して変更を検討している事をdalje.comが伝えている。クロアチア農相ヤコヴィナ氏は喫煙への対策として教育プログラムと喫煙の危険性の認識を高める必要性を唱えていることを同紙は伝えている。

Text by NewSphere 編集部